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木材の知識

ヒノキの強度の経年変化

写真は、小原二郎教授の「ヒノキの強度の経年変化」についてのグラフです。

家を建てるときは、380㎏/㎠の強度の材料で建てます。

木というものは、中の水分が抜けて乾いてくると強度が上がります。

これが、200年かけて強度が上がると言われています。

200年かけて強度が上がってくると、500㎏/㎠の強度までいきます。

そこから1000年かけてゆっくりと強度が下がっていきます。

ということは、1200年かけて、建てた時と同じ強度になるということです。

法隆寺の五重の塔がなぜいままで崩壊せずに持ちこたえられたのかという理由のひとつです。

通常の素材は出来たときが一番強度があり、あとは弱くなる一方 です。

木材の場合は神秘としかいいようがありません。

ですので、古い柱などは表面の色が悪くなって黒くなったりして、見た目が悪くなったりしますが、木の本来の強度はそう簡単に下がるものではないということがお分かりいただけたと思います。

新しい木が良いわけではなくて、古い方が良い場合もあるということですね。

今の家の材木がそのまま使えるようであれば、使った方がかえって頑丈な家になるということになりますので、覚えておいてください。

無垢材とは

無垢材とは1本の丸太から切り出して作った木材のことで、混ざり気のないという意味がある「無垢」という言葉に由来しています。

あくまで、製法のことを指していており「無垢材」という木の種類ではありません。

無垢材の収縮

無垢材は、どんな乾燥のやり方をしているかで、家の経年強度が変わってきます。

つまり、しっかりと乾燥されている木材を使った家かどうかがポイントになります。

伐採した木をそのままの状態で製材しただけのものを生木、業界用語ではグリーン材といいます。未乾燥の状態ですね。

生木には、本来木の重量と同じかそれ以上の水分が入っています。

この生木の状態の木材で家を建てると、建てた後で徐々に乾燥が進んで木が縮んできます。

そうすると、床鳴りがしたり、隙間ができる原因になります。

ですので、この生木を使って家を建てるのは絶対にダメです。

しっかりと乾燥した木材で建てていただきたいと思います。

木材には縮み係数というものがあり、0.35といわれています。

例えば、30㎝の大きい梁の場合ですと、生木の乾燥が進むと、約1㎝くらい縮むということです。

1階天井の梁が1㎝縮むと2階の床がそれだけ下がり、当然床鳴りが起きたり、2階の床が歪んでくるということになります。

4寸角(12㎝)の柱ですと、4.2㎜細くなってしまいます。

これは瑕疵の状態になりますので、生木の木材は使ってはいけません。

無垢材の乾燥

無垢材はきちんと乾燥してからでないと使ってはいけません。

では、どうやって乾燥するかというと、ひとつは天然乾燥でAD材とよばれています。

もうひとつは機械乾燥でKD材とよばれています。

天然乾燥は、風通しの良いところで1年以上天日干しをして自然に乾燥させます。

ただし、乾燥に向いている地域じゃないと難しくて、湿度が高い北陸や東北地方には向いていません。

西日本では結構乾きますので、天然乾燥をする材木屋さんが結構いますが、雪が降るような地域では難しいと思います。

あと、納期が1年以上かかりますので、大量生産には向いていないということになります。

昔の大工さんは、この天然乾燥した木材を使って墨出しして刻んでいました。

今は品質確保促進法という法律があって、クレームや瑕疵に値する場合がありますので、建物を建てる前に木をしっかりと乾燥させたKD材が多く出回っているようです。

機械乾燥は、乾燥釜で木を強制的に乾燥させます。

 

工期の短い住宅ですとか、大量生産の住宅の場合、やはりこのKD材を使わざるを得ないことになります。

KD材の欠点としましては、表面が割れやすいというところがあります。

また、強制乾燥で油分も出てしまうので、艶がなくなり、見た目の質が落ちて見えるというところがあります。

そのために、大壁といわれる柱を見せないような工法が、今非常に増えているわけです。

木には固くするためのリグニンという成分がありますが、機械乾燥をするときに、リグニンが水分と一緒に排出されてしまいます。

そうすると、200年かけて上がって、1000年かけて下がり、1200年かけて新しい木材と同じになる木材の経年強度のピークが天然乾燥のAD材ほど上がらないというのが欠点になります。

木材の接着剤

レゾシノール系

レゾルシノール系接着剤の集成材はあまり使ってはいけないということです。

なぜかというと、やはり含まれている成分がポイントになります。

レゾルシノール系接着剤、別名黒糊といいますが、これの良い点は接着能力が非常に高いというところです。

しっかりと乾燥していない木でも、レゾルシノール系接着剤で接着すると、しっかりと木と木が接着できます。

木の水分が残っていても剥離が起きにくいので、強度が均一に使えます。

ですので、構造計算がしやすくなります。

要は、設計者側には使いやすいという話です。

お客様のために良いかどうかというのとは別問題になるのかなと思います。

レゾルシノール系接着剤とは

レゾルシノール系樹脂接着剤は木材の接着に広く用いられています。

一般的に、フェノール類とレゾルシノールとホルムアルデヒドの*共縮合体樹脂が主剤として用いられ、硬化剤としてはパラホルムアルデヒド、ヘキサメチレンテトラミン等が用いられています。

*二種以上の分子または同一分子内の二つ以上の部分が新しい部分を作る反応のこと

レゾルシノール系接着剤の集成材の欠点

欠点としては、レゾルシノール系接着剤の成分にホルムアルデヒドが含まれている場合があり、接着後もホルムアルデヒドを放散させて、シックハウス症候群の原因になったりします。

今はだんだん良くなって、このレゾルシノール系接着剤でもF☆☆☆☆のものも出てきてはいます。

ただし、少ない量のホルムアルデヒドの放散でも、たくさんの量を使えばそれなりの数字に上がります。

ですので、24時間換気が絶対条件になります。

こういうことも考えておいてほしいと思います。

この集成材の寿命は、接着剤の劣化に左右されます。

木の強度ではなくて、接着能力が落ちてくると、その材料の強度が無くなるということになります。

接着剤の寿命は50~80年といわれていますね。

一般的な無垢材の乾燥材ですと、200年かけて強度が上がって、その後1000年かけて強度が下がって、元の強度に戻ります。

つまり、建物を建てて1200年の間使い続けることができるというデータがあります。

そのために、無垢材で建てられたお寺や神社などの古い建物がずっと建っているわけです。

集成材はそういうものとは違ったものになりますので、使う際はしっかりと考えて頂きたいと思います。

水性高分子イソシアネート系接着剤

この高分子イソシアネート系接着剤の集成材は、家具などの強度が掛からないものにはいいんですが、柱や梁などの構造躯体には不向きだと思います。

この高分子イソシアネート系接着剤、別名白糊といわれますが、水性なのでレゾルシノール系接着剤と違って、ホルムアルデヒドを放散させません。

水性高分子イソシアネート系接着剤集成材の欠点

その分、健康的な材料なんですが、欠点としては水や湿気に弱いというところがあります。

糊が剥がれて集成材が剥離してしまうという事件が2回ほどありました。

2002年にドイツからきた集成材、2005年に中国からきた集成材、どちらも日本のJAS認定工場でつくられたイソシアネート系接着剤集成材が、実際に日本で建物を建てた後に剥離が見つかって、その対処に工務店が奔走したという事件がありました。

平成17年に発覚した中国からの集成材の剥離事件記事

水性なので、湿気があったりするとどうしても剥離が起きてしまいます。

集成材が剥離するとどうなるの

集成材は、基本的に糊の強度で材料の強度が決まりますので、糊が剥離してしまうと意味がありません。

無垢材のスギ、ヒノキ、米マツと、水性イソシアネート系接着剤のホワイトウッドの集成材を、3年間屋外に放置した実験があります。

3年後には、このホワイトウッドの集成材だけ腐ってしまって跡形もない状態になりました。

集成材の暴露実験

なぜかというと、木と木を貼っていた水性高分子イソシアネート系接着剤がどんどん溶けていって、その隙間に水分が入って、木が早く腐ってしまうということです。

これは住宅にも言えることで、建物の外側の壁のところで水性高分子イソシアネート系接着剤の集成材を使って、あまり性能の良くない断熱材を使用した場合、内部結露(壁内結露)が起きて、壁の中に湿気がたまります。

そうすると、この水分で接着能力が落ちて、剥離や木の腐食が起きて、建物の強度に、問題が起きてきます。

この水性高分子イソシアネート系接着剤の集成材を建物に使用する場合は、力のかかる場所には使用しないように気を付けて頂きたいと思います。

生木(未乾燥材)で家を建てるとどうなるか

家を建てる際生木を使ってはいけません。

生木は、後で乾燥が進むと縮んできて、壁の中で内部結露が起きてしまって、家がすぐに悪くなってしまいます。

これについてお話をしたいと思います。

家を建てた後でわかる住宅被害ということですが、例えば、木本来の重量と同じだけの重量の水分を含んでいる含水率100%の材料を使って建てた場合についてです。

120㎜角の4寸柱ですと、木が乾くとどれくらい縮むかというと4.2㎜縮みます。

例えば、1階部分で100本の柱を使うとします。

そうすると、木が縮むことによってできた隙間を全部合わせると、420㎜(42㎝)の隙間ができることになります。

これはもう隙間ではなくて、開口部に値するわけです。

また、300㎜(30㎝)の梁の場合は約10.5㎜縮みます。

それが原因で、2階の床が波打ったり、上がった時に音がしたりします。

ミシッという床鳴りがします。

このように、使う材料によってクレームが起きたりします。

壁の内部で隙間ができたりすると、透水性のある断熱材ですと断熱性能が下がります。

隙間にきっちりと断熱材が入っていればいいんですが、木が縮んでしまえば余計な隙間ができてしまうわけです。

そうすると壁の中に湿気が溜まって内部結露(壁内結露)が起きます。

その結果、建物に腐朽菌が発生して、木が腐るという現象が起こります。

特に、綿状の断熱材の場合は、この内部結露によって断熱材が湿気を含んでしまいます。

その湿気がどこに逃げるのかというと、木が吸ってしまうわけです。

その結果、腐朽菌やシロアリをよぶということになります。

シロアリは湿気があるところに集まりますので、蟻害が発生するということです。

ですので、家の性能を維持するためには、やはりそれなりの材料を使わなくてはいけないということです。

特に、構造主要部の柱・梁・屋根材などが大事になりますし、それに伴ってどんな断熱材を使うのかも重要です。

また、外壁材も大事です。

柱が縮んでしまうことに対して、伸縮性のない外壁ですと、そこに亀裂が入りやすかったりします。

コーキングが割れるというのは、木の収縮が原因だったりすることもあります。

そういう意味で、家を建てるときに使われる木材は、しっかりと乾燥しないと、写真のように、壁の中で腐ってしまうことになりますので、そうならないような木材を使って頂きたいと思います。

よく言うんですが、家は建てることがゴールではなくて、住んで納得することがゴールなんですね。

住んだ後にそういうことが起きないような家を建てるというのがポイントになってきます。

ですので、使う材料もしっかりと考えて選んで頂きたいと思います。

▼ぜひ活用してほしい自然素材や無垢材についてはこちら

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自然派ライフ住宅設計㈱のお家造りは、新潟市で自然素材を使用した性能向上リノベーションです。今あるお家を健康で快適な住継げるお家にすることです。

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  1. 戸建て性能向上フルリノベーションの流れ 工事前準備について
  2. 戸建て性能向上フルリノベーションの流れ① 解体工事から木工事へ
  3. 戸建て性能向上フルリノベーションの流れ② 木工事に入る前の調整について
  4. 戸建て性能向上フルリノベーションの流れ③ 木工事の床や壁下地と床断熱について
  5. 戸建て性能向上フルリノベーションの流れ④ 木工事と壁断熱吹付について
  6. 戸建て性能向上フルリノベーションの流れ⑤ 木工事と外負荷断熱施工について
  7. 戸建て性能向上フルリノベーションの流れ⑥ 木工事の床仕上げと外壁漆喰塗り
  8. 戸建て性能向上フルリノベーションの流れ⑦ 木工事完了と外壁仕上げについて
  9. 戸建て性能向上フルリノベーションの流れ⑧ 内部仕上工事~完成へ
  10. 戸建て性能向上フルリノベーションの流れ⑨ 完成とビフォーアフター