新潟のリノベーション│断熱性能がわかる!その重要性について解説

目次

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性能向上リノベーションで断熱性能を底上できる

自然派ライフ住宅設計㈱ 
リノベーションとフルリノベーション

建替えする場合は安い新築やリフォームよりも性能向上フルリノベーションをオススメしています。

お客様が断熱性能からくるお悩みが原因で建て替えで新築する場合や、リフォームを考えているときに、当社はケースによっては安い新築や部分的なリフォームよりも、性能を向上させるフルリノベーションをオススメしております。

また、断熱性能の重要性についても言及していきますのでぜひご参考にして頂けるととてもうれしいです。

建替え新築やリフォームではなく、フルリノベーションでの断熱性能向上がオススメな理由とケースの結論2つ

建替え新築の場合、ローコスト住宅と同じ金額帯でより性能を上げてフルリノベーションすることができる。

持ち家を壊すして割高な費用でローコスト新築の建替えするなら、フルリノベーションで浮いた費用を断熱性能に使った方が経済的です。

お家全体でみるとリフォームよりもフルリノベーションの方が安く性能向上できる場合が多い

一部の部屋だけ断熱性能を向上させるならリフォーム、お家全体を向上させるならフルリノベーションです。

▼リノベーションの費用・断熱・耐震 大事なポイントはこちらをクリック

▼断熱工事はなぜ必要なの?詳しく解説はこちらをクリック

▼寒い地域である新潟では断熱性能が必要!その理由を解説はこちらをクリック

よく言われる高性能住宅の基準とはなにか?

具体的に決まっていない事が問題です。

高性能住宅とは

この言葉は、住まい造りを進行中、検討中の方でなくてもよく耳にしませんか?
最近では様々なハウスメーカー様や工務店様でも口にしているのをみかけます。

それを見て皆様どんな印象をお持ちでしょうか?

やはり、この言葉を謳っていると高品質で安心、更に暖かいというような印象を受けませんか?

ですが、これは会社様ごとに高性能住宅をどんな意味合いで使うかそれぞれ違うのではないかと考えています。

つまり、【高性能住宅】という言葉に明確な基準や定義はなかったりします。

ということは日本の最低レベルである、住宅に対する国の基準をクリアしているだけでも高性能住宅という言葉は使えるのです。
この言葉には明確な定義がないわけですからね。

自然派ライフの高性能住宅とは

当社の標準でもある国の基準の2倍の性能を目安にしているハウスメーカー様や工務店様が数多くあるのは事実なわけです。

大事なポイントは、高性能という言葉の中になにがあるか?これを見分け、自分の求めている価値とマッチしているかどうかを選定していくことだと考えています。

その中で自然派ライフ住宅設計の高性能住宅として大事にしている事これらです。

  1. 住宅の断熱性
  2. 住宅の耐震性
  3. 住宅の耐久性
  4. 住宅の省エネ性
  5. 全体の低ランニングコストや維持管理のしやすさ

この5つの項目と考えています。

つまり、【長期優良住宅】として求められている内容です。

建てた後の後悔はやはり断熱性

家造りの住む前と住んでみたときの不満は大きく違います。
これが断熱性能に直結します。

以下、【新建新聞社の住宅取得に関するアンケート調査】より抜粋

家を建てる前に不安だったこだわりの点

  1. 価格 64.5%
  2. 間取り 57.3%
  3. デザイン 36.8%
  4. 構造 35.8%
  5. 設備(キッチン等) 33.4%
  6. 性能 31.2%

住んだ後の不満点

  1. 暑い 27%
  2. 寒い 23%
  3. 結露 15%
  4. 虫・害虫 8.8%
  5. 風通し 6.6%
  6. 空調が効きにくい 5.6%
  7. 順次カビ、湿気

住んだ後に金額が不満だったという方はほとんどおらず1%未満という結果でした。
ただ、少なからず不満だと感じる方はいらっしゃるはずです。
それ以上に、暑い、寒い、結露という建てる前は30%しか気にしていなかった
性能の部分で不満に考える方が多いのですね。

戸建てフルリノベーションで断熱性能向上させる2つの理由

  1. 健康への影響と住みやすさ
  2. ランニングコストへの影響

この2つが特に重要なポイントです。

それはどういうことでしょうか?
具体的に追っていきましょう。

断熱性能が重要な理由 健康への影響と住みやすさについて

ヒートショックとしての健康被害

ヒートショックという言葉がありますが、冬場の浴室で亡くなる方が多いとよく言われます。

今は冬の住まいを考えた家づくりをしていかないといけません。

日本の住宅の断熱性のが低いために、高齢者のヒートショックが後を絶ちません。

高齢になればなるほど、寒冷期の影響を受けやすくなります。

ヒートショックで、冬場に浴室で亡くなる高齢者の方が、交通事故死亡者の4~5倍といわれています。

ですので、家づくりには冬対策というものが大事になります。

「寒さは人を弱らせる」には根拠がありますが、寒い家で我慢するような「寒さは人を強くする」には根拠がないようです。

結露やカビから生まれる健康被害

どのような問題になるか?

結論から言いますと、結露・カビ対策というのは、健康対策に直結しますので、やはり健康被害のないような家づくりをしていただきたいと思います。

上記写真の、結露・かびによる健康被害の倍率の表を見ていただくと分かりますが、居室と寝室に結露が起きている場合とそうでない場合を比較すると、症状として、咳き込む確率は8.96倍あると言われています。

また、気道過敏症が2.45倍、喘息症状が2.41倍になります。

結露が起きている部屋と起きていない部屋では、この健康被害の状況がまったく違うということになります。

更に、カビが生えている場合とそうでない場合を比較すると、咳き込みは3.56倍、気道過敏症は3.05倍、喘息症状は3.76倍になります。

特に喘息症状は、健康に直接影響を及ぼしますので、このようなことが起きない家づくりと、家の使い方をしていただきたいと思います。

カビが生えていると、このカビ菌が、床から1mくらいのところで風に舞っていて、身長の低いお子さんがそれを吸い込んで、喘息になってしまうというケースがよくあります。

布団で寝るか、足のついたベッドで寝るかも床からの高さが変わってきますね。

やはり、家の環境というものが、住む人の健康に直結しますので、結露・カビ対策をしっかりと考えて家づくりをしていただきたいと思います。

そもそも結露はなぜおきる?

結論から言いますと、結露のコントロールは、温度と湿度の管理ということです。

やはり、家の温度と湿度は、常時チェックして頂きたいと思います。

この結露ですが、温度が25℃、湿度が60%以上の時に発生しやすいと言われています。

例えば、上のグラフを見て頂くと、気温が25℃、湿度が60%以上の赤い枠の範囲の時に、カビも発生しやすいと言われていますので、そうならないように家の温度と湿度の管理が必要になると思います。

また、この飽和水蒸気量のグラフを見てください。

1㎤あたり、どれくらいの水蒸気が空気の中に含まれているかというグラフです。

例えば、家の中を30℃に暖かくして、外出するために暖房を切って、帰ってきたら家の温度が10℃に下がっていたという場合、湿度がグンと上がって100%に近くなります。

それだけでなく、実は1㎥あたり8.8gの結露水が、家のどこかについているわけです。

これが40坪の家だとすると、約2.8㎏の結露水がついているということになります。

空気中の水蒸気の変化 YKK資料より

 

壁・天井・床・サッシなどに均等にくっついているわけではなくて、断熱性能が悪くて熱が一番奪われやすい窓に水滴がたくさんくっつくわけです。

 

また、風が流れにくような押し入れにも結露水がつきます。

よくあるのが、LDKは開放的だけれども、2階の寝室やまだ使われていない子供部屋などを閉め切っておくと、そういうところに実は湿気がどんどん逃げていきます。

そうすると、暖かくしてある部屋の隣の部屋でも結露だらけになっているということがあります。

結露を起こさないためには、やはり換気扇や戸を開けっ放しにして風を流してあげるというような対応が必要になります。

このような結露の原理を覚えていただいて、家の結露対策をしていただければと思います。

結露への対策

結論から言いますと、結露対策を考えずに家を建てたり、リフォーム、リノベーションをすると後悔します。

結露対策を考えた仕様にするということが大事です。

結露対策としては、家を建てたり治したりする場合の対策と、普段の家の使い方の対策の二つに分けられますので、それぞれ説明したいと思います。

断熱性能を向上させることに繋がる

家を建てたり治したりする場合は、家の性能を向上させることが大事です。

窓の性能や、床・壁・天井の断熱性能をどこまで上げるかということです。

特に熱を逃がしやすい、サッシなどの性能を上げることが大事です。

また、内装材も湿気を吸ってくれるような調湿性能のある材料であれば、湿度が下がりカビが生えにくくなりますので、そういう材料にするといいでしょう。

リノベーションやリフォームの際、壁材として漆喰や珪藻土の塗り壁にすることが多いのは、この調湿効果を期待しているということだと思います。

お家の温度差をへらす

結露対策としては家全体の温度差をなくす処置が必要だということです。

よくあるのが、普段LDKは暖房してしっかりと暖めているんですが、家の性能が悪いと、廊下を挟んだ奥の部屋とでは温度差がかなり出てしまいます。

そうるすと暖かい空気が水蒸気ごと寒い部屋に移動してしまって、その部屋で結露がおきて、窓の辺りは水滴でビショビショになってしまうというケースが多いようです。

こうならないようにするには、やはり家全体の温度差をなくすということが大事です。

ですので、戸を開けっ放しにするような使い方ですとか、24時間換気で家全体の空気を動かすことも大事なことだと思います。

欄間付のドアで扉を閉めても空気が流れるようにした例

昔の家のつくり方ですと、隙間だらけの家でしたから、あまり結露というものは起きなかったんですが、今は気密の良い家で魔法瓶のようになっていますから、その中で一つの空間だけを暖かくすれば、どうしても家の中の寒い部屋のほうに結露が起きてしまいます。

ですので、しっかりと風を動かして、温度差をなくすということが大事ですし、そうのような家の使い方、温度差が起きにくい間取りをしっかりと考えて、家づくりや戸建リノベーションを進めていただきたいと思います。

結露の種類

結露というと、皆さんは窓の水滴ですとか、部屋の中の水滴やカビの発生などの、室内結露を思い浮かべる方が多いと思います。

実は、結露にもいろいろと種類があって、例えば床下結露や壁内結露が発生しているというケースがあります。

  1. 小屋裏結露
  2. 壁内結露
  3. 床下結露

などが大きな問題につながることがあります。

室内結露と壁内結露が子供のアトピーや喘息の原因になったり、健康に直接関係してきますので、しっかりと対策をしていただきたいと思います。

実際に、室内に湿気があって結露が起きるとどうなるかというと、窓に水滴がついてビシャビシャになるということもありますが、それ以外に壁にも水滴がついてきます。

ビニールクロスだったりすると、触ってみれば室内結露が起きているかどうか、すぐに分かります。

これをほっておくと、カビが生えてきたり、ダニも発生します。

そのダニの糞や死骸が、窓を開けて風が動いたときに、床から1mくらい舞い上がると言われています。

そうすると、身長が低いお子さんは、それを吸い込んでしまうわけです。

それがアトピーや喘息の原因になるといわれていますので、カビやダニなどのアレルゲンが発生しないような家づくりや家の使い方をしていただきたいと思います。

カビの発生とダニの増殖

この写真をよく見て頂くと、壁がまだらになっています。

和室の壁のカビ

これは、壁の中に湿気が入ってきてしまって、壁の表面にまでカビが生えているという状態です。

また、下の写真のように、壁を剥がした状態を見ていただくと、壁の中が真っ黒になっています。

壁内結露でカビが発生

これが壁内結露(内部結露)です。

断熱材が水を吸ってしまって、水浸しの布団のような状態になっています。

それをほっておくと、こんな風にカビだらけになります。

こんな状態の家の中に住んでいれば、健康に良いわけがないですよね。

ですので、壁内結露の見えないところのカビや、室内結露の部屋の表面に出てくるカビなどを起こさないような家づくりや家の使い方をしていただきたいと思います。

小屋裏結露とは何かというと、2階の天井よりも上の、屋根の三角の部分に結露が起きてしまうということです。

小屋裏結露発生箇所

雨漏りだと思っていたら、実は小屋裏結露だったというケースが非常に多いです。

結露かと軽く考えていると、実は大変なことになります。

屋根は面積が広いですから、そこに一面に水滴が付くとどうなるかというと、水滴が壁の中まで流れていきます。

そうすると、雨漏りくらいの水の量になります。

小屋裏結露が起きると、まず分かりやすいのは、2階にいくとカビ臭いという現象が起こります。

そうなったら、まず点検口から中を覗いてみてください。

そして、屋根の裏側の部分に水滴やカビが生えていないかかどうかを確認していただきたいと思います。

小屋裏結露は小屋裏換気がどうなっているかという問題になります。

小屋裏換気は、三角の部分から風を通す妻換気や、三角の頂点の棟から空気を逃がすような棟換気などがあります。

妻換気例 LIXILカタログより

棟換気例 LIXILカタログより

また、後付けで換気扇を付けて空気を動かす機械換気もあります。

屋根の形状によっても、結露が起きやすい、起きにくいという違いがあります。

例えば、切妻のようなシンプルな屋根であれば、三角の部分から風を流す妻換気がやりやすいのですが、全部が屋根になっている寄棟の屋根は、風を流す部分がとりにくいので、小屋裏結露が起きやすくなります。

また、天井が平天井か、斜天井かによっても変わります。

何が大事になるかというと、天井の断熱がどうなっているかということです。

しっかりと天井断熱が効いていれば、部屋の暖気を小屋裏に逃がすことはないわけです。

断熱性能が悪いせいで、暖気が逃げて、小屋裏が暖まってしまうと、小屋裏で結露を起こすわけですから、ちゃんと天井の断熱が効いているかどうかがポイントになります。

特に、雪が降る地域では、屋根に雪が積もっている状態で、部屋の中をどんどん暖めることで、小屋裏まで暖まってしまうと、やはり小屋裏で結露が起きやすくなります。

風が動かなければ結露が起きやすくなりますので、断熱と換気がどうなっているかを確認していただきたいと思います。

日経ホームビルダー記事より

小屋裏結露が写真のような状態になってしまうと、当然屋根は治さなければなりませんし、壁の中に水滴が入っていれば壁も治さなくてはなりません。

そのせいで外壁が傷んでしまっているケースもよくあります。

こうなると、専門家を交えてどうやって治すか、しっかりと対策を考える必要があります。

床下結露といってもあまりピンとこない方が多いと思います。

私は、住宅のセカンドオピニオンとしての立場で、床下結露の相談をよく受けます。

この床下結露がなぜ起きるかというと、夏場に部屋をエアコンで涼しくしているところで、外気温が非常に高いと、床下や外壁面で結露が起きて、床の裏側が結露して、その水滴が最終的に床下に落ちていって、写真のように床下がビショビショになってしまいます。

これは、配管が漏れてそうなっているのではなくて、結露でこんな風になるんですよね。

床下を開けてみたときに、濡れているんだけれどどうしてかということが結構あります。

この床下結露の対策としては、やはり通気を考えて、床下換気口を適切に設けて、風の流れをつくるというのが大事になります。

せっかくある床下換気口のところに、物を置いてしまって風の流れを塞いでいることもありますので、確認が必要です。

床下に物が置いてあって通気を妨げている

どうしても風が流れないという場合は、床下に換気扇を付けなければならない場合もあります。

また、雨漏りから床下結露が起きるというケースもありますので、雨漏りがないかどうかを、早めに確認をして適切に修理をすることも大事です。

家の床の高さよりも、外の庭の高さのほうが高くて、床下にコンクリートを打っていない家の場合、地面から水がしみ込んで床下に入ってくることも結構あります。

昔のつくりの家であれば、床下の状態を確認するのも大事です。

あと、基礎の立ち上げで、配管の穴があったりして、そこから漏れているケースもありますので、その隙間を埋めることも大事です。

家の床下の、地面からの湿気を抑えないと、床下に湿気が入ってきてしまって、シロアリがきたり、木が腐ったりするので、早めの対処が必要です。

もし、コンクリートを打っていなくて、土がむき出しの場合は、防湿シートを敷いて土の湿気を抑えることが大事です。

床下結露対策としては、やはり通気をしっかりとることと、新築でも戸建リノベーションでも、床下の断熱をしっかりして、結露が起きにくいような対処をしていただきたいと思います。

断熱性能で対策できるランニングコストの削減

光熱費対策

写真の図を見てもらうと分かりますが、札幌市と新潟市の冬の光熱費というのは、実はさほど変わりません。

ご存じのように札幌市の冬はとても寒いです。

新潟市は、確かに雪は降るんですけど、最低気温は氷点下をちょっと下回る程度の寒さなんですね。

この差は非常に大きいわけです。

例えば、冬12月から3月までの光熱費を比較すると、札幌市で130,893円で、新潟市は129,345円で、差額としては1,548円しか違わないというデータがあります。

実は、札幌市と新潟市の家の断熱性能が根本的に違うんですね。

家のつくり方が違います。

これがお家の断熱性能が重要な理由です。

新潟市は断熱係数が5の地域で、東京や関西とさほどかわりません。

それに比べて札幌市の最低気温は氷点下20℃くらいになるわけですから、家の性能をしっかりしないと生死にかかわることになりますので、徹底した断熱性能を確保する必要があります。

よくあるのが、札幌市では家に断熱材が徹底的に入れてあって、真冬でも家の中で薪ストーブを焚いていると、半袖半ズボンで生活しているということがあります。

新潟市では、服を着込んでコタツで丸くなって、ストーブをつけても全然部屋が暖まらないという状態なわけです。

ストーブをつけても、家の断熱性能が悪ければ、全部外に熱が逃げてしまうということです。

最初から徹底した断熱性能のある家づくりをすれば、光熱費が掛からないということです。

ほどほどの断熱性能の家というのが非常に多い分、光熱費がかかってしまいます。

つまり、寒い地域の家づくりに関して、断熱というのが非常に重要なところになります。

国で決められている基準はありますが、それで満足せずにグレードを上げて、40坪の家でしたら、エアコン1台で家中が暖まるというような家づくりをしていただけると、光熱費はもっと少なくできると思います。

新潟市は雪国であり、エネルギー価格の高騰に備える

今年の大雪により例年と違う動きが多くみられ、工務店の人間として個人的にもとても勉強になる年でした。

先にお伝えしたいことを言ってしまいますが、電気代が例年の1月よりも大きく上がった世帯が多かったようです。

現に私の家でも毎月3~程度だった電気代が今月は6万~で請求が来ていました。

戸建てリノベーションの断熱材の種類

戸建てフルリノベーションは新築と同じ断熱材が使用できます。

タイトルのとおりですが、戸建てフルリノベーションやリノベーションでも新築と同じ断熱材が使えます。

予算を振りたい断熱工事ですが、断熱材の種類を知るところから始めましょう。

グラスウールについて

グラスウールとはなにか?

グラスウールとは、ガラス繊維でできた綿状の素材で、安価で防火性能に優れていることから建築物の壁・天井・床・屋根の断熱材及び吸音材として、また、空調ダクト等の配管の断熱材として広く用いられています。

結論から言いますと、グラスウールの断熱材は床や壁には不向きな断熱材だと思います。

ですが、最も使用されていると言われているのは、この繊維系のグラスウール断熱材です。

グラスウールのメリット

利点としては、安いということです。

また、ガラス繊維ですので防火性能に優れているということも重要な利点になります。

今、住宅に関する国の基準は、しっかりとした防火性能をもった建物にするということがありますから、やはりグラスウール断熱材がよく使われているのだと思います。

音に関しても、吸音性に優れているということがあります。

グラスウールのデメリット

欠点としましては、湿気に弱くて水分を含むと重くなってズレ落ちるということがあります。

ズレ落ちて隙間が空いているグラスウール

建てたときはいいんですが、築年数を経て壁の中で結露が起きてしまうと、湿気を含んでズレ落ちるということになります。

また、空気が対流する空間があると断熱性能が悪くなるということがあります。

床と天井に隙間があって、風が床から天井に流れてしまうと、グラスウール断熱材を入れる意味がないということになりますので、施工が非常に重要になります。

水分を含んだグラスウール断熱材は、木材や壁の中を腐らせてカビを発生させ、住宅の寿命を縮める原因になったりします。

壁の中にカビが発生している状態

グラスウール断熱材自体がダメなのではなくて、施工が非常に大事ということです。

ただし、この施工がとても難しいというところがあります。

一般的にグラスウール断熱材は、グラスウールを入れた後にポリフィルムを表面に貼って気密をとるというのが通常の施工方法です。

しかし、現場の手間がかからないようにするためか、袋入りのグラスウール断熱材を使う場合が多いと思います。

袋入りのグラスウール断熱材は、更に施工が難しいのです。

施工性が難しいことを理解していても、職人の手間をはぶくために、見て見ぬふりをしている現場監督が多いことも、現実にはあります。

住宅メーカーさんはよくグラスウール断熱材を使ったやり方をします。

住宅メーカーさんの利点は品質を守るというところですから、工場でしっかりと管理ができているのだと思います。

だた、それも家をつくるまでの話で、築年数を経て、壁内結露が起きてしまうと、後々メンテナンスが大変な断熱材になるかなと思います。

それであれば、品質や性能を考えて、グラスウールではない断熱材も選択肢として考えておくべきではないでしょうか。

セルロースファイバーについて

セルロースファイバーとはなにか?

セルロースファイバーとは1950年代のアメリカにて開発された断熱材で、新聞紙などを原料にホウ酸処理したものを壁に吹き込むことで断熱をする断熱材です。

結論から言いますと、セルロースファイバーの断熱性能は実はそれほどでもないんですが、その他の利点が非常に多いんですね。

それらを考慮するとセルロースファイバーの断熱材も良いと思います。

断熱材は、どんな材料にするかと、それが何センチの厚さで施工できるかで、断熱性能が変わります。

性能値が低い分、厚く吹くことができればありだと思います。

セルロースファイバーのメリット

セルロースファイバーの利点についてお話しします。

まず、調湿性能に優れています。

また、結露やカビ防止といういう点でも優れています。

防火性に優れていて、火を当てても燃え広がらないという利点もあります。

ホウ酸を使って作られているだけに防燃処理が施されていますので、火災になっても燃えにくい性質を持ち安全性も高いのが魅力です。

ちなみに火災になってセルロースファイバーが燃えてしまったときは表面が炭化されます。炭化層ができると酸素と熱を防御して内部の木材部分を保護してくれるシステムです。

ウレタンフォームの断熱材を吹付ける場合、出来上がったあとに音が反響して感じることがありますが、セルロースファイバーは吸音してくれるので、防音性にも優れています。

主に新聞紙または段ボールを原料として製造されていて、難燃剤としてホウ酸やリュウ酸アンモニウムを添加していますので、害虫予防や防火性にもすぐれています。

蓄熱性も高いので、性能の良い暖房器具を使用すれば、セルロースファイバーがしっかりと熱を受け止めて、その熱を放熱もしてくれるということになります。

蓄熱性が高いほどたくさん熱量をため込んでおくことができます。

そして、そのため込む量が多いほど、断熱材の内側と外側での熱の移動を穏やかにします。

セルロースファイバーとグラスウールの蓄熱量は約5倍ほどの差があり、蓄熱量の多いセルロースファイバーは冬の夜に暖房を切っても熱が逃げにくく、朝まで暖かいということになるのです。

ただし、夏季は長時間熱を受けてしまうとセルロースファイバーが蓄熱し、冷めにくくなってしまいま

すので、“遮熱”をしなければいけません。

対策としては遮熱シートを屋根に使用すれば、外部の太陽エネルギーを直接伝えず、断熱材に熱が

こもりすぎることがありませんので、熱の移動が穏やかなセルロースファイバーは室内まで熱を伝えません。

冷房を切っても冷気がすぐに外部に逃げることがありませんので、真夏でも快適に過ごすことができるのです。

原材料が新聞紙や段ボールですので、エコロジーというところもあります。

このように利点がたくさんあります。

新築で、ある程度壁の厚さをとれる設計ができる場合、セルロースファイバーは非常に良い断熱材だと思います。

ただし、戸建リノベーションの場合、どうしても既存の薄い壁の中で断熱性能を上げなければならない場合には、厚さが必要になるセルロースファイバーは適さないということになります。

例えば、戸建リノベーションでも、壁を全部壊して、真壁を大壁にするような場合はセルロースファイバーにするということもありますので、ケースバイケースだと思います。

セルロースファイバーのデメリット

一番はコストがかかることがあげられます。

また、屋根に吹き付けする際には様々な処理が必要な場合が多く施工も一部複雑になります。

吹付断熱について ウレタンフォーム

軟質ウレタンと硬質ウレタンがある

現場吹付ウレタンフォームには2種類あって、原材料のポリウレタンを100倍発泡した軟質ウレタンフォームと、30倍発泡した硬質ウレタンフォームがあります。

おすすめするのは硬質ウレタンフォームです。

なぜかというと、断熱性能、気密性能、透湿性、木材への接着強度が全然違うからです。

軟質ウレタンフォームと硬質ウレタンフォームは、同じように見えて全く別なものであると考えていただければと思います。

共通のメリット

発泡ウレタンの熱伝導率は製品によって異なりますが、グラスファイバーやロックウールなどに比べると良いだけではなく、接着性が高くて隙間がないため、薄くても高い断熱性を発揮します。

特出する軟質ウレタン吹付のデメリット

実際のところ、軟質ウレタンフォームの方が値段は安いです。

ただし、地震で家が揺れたり、木材の収縮が起きた場合、接着強度が非常に重要になるんですが、軟質ウレタンフォームは接着能力が弱くて、隙間が出来やすかったりして、隙間風や結露の原因になったりするわけです。

柱と断熱材の間に隙間ができれば、そこから風が入ってしまうわけですから、カビの発生や木材が腐る原因になる可能性があります。

壁の中というのは、家を建てたあとで治すということがありません。

ですので、最初の段階でいいものを使わないと、どんなに表面をきれいにしても、あとあと問題が起こることになります。

そうならないためにも、最初の段階でこの断熱材は、徹底して性能のいいものを使っていただければと思います。

施工の問題点

また、軟質ウレタンフォームですが、現場吹付をする際に、透湿防水シートに直接当たるように吹付ている業者さんが見られます。

軟質ウレタンフォームは性能値があまり良くないので、厚さ10㎝以上は必要になります。

それが透湿防水シートに当たって、外壁との通気層のところまで膨れ上がってしまって、外壁との間の通気層に風が流れなくなってしまいます。

そうするとどうなるかというと、壁の中で結露が発生する原因になります。

軟質ウレタンフォームを使用する場合は、施工のチェックが必要になるかと思います。

現実に、このような状態になり、クレームが発生するという問題が起きたようです。

日本透湿防水シート協会から発表されている資料がありますので、報告させて頂きました。

新潟市だから断熱性能にこだわる

断熱性能は各地域により基準が違います。

省エネ基準区分から考えましょう

省エネ基準区分

この省エネ基準地域区分というのは、日本各地でどれくらいの断熱性能が必要なのかというのを国が決めたものです。

地域によってどれくらいの断熱基準かというのを8段階に分けています。

ただし、これを基準にして家を建てると、新潟あたりでは寒い家になってしまいます。

建築基準法というのは、最低限守らなければならないという程度の法律でしかありませんので、これを基本として、後はどこまで断熱性能を上げていくのかということを考えていかないと、住んでから暑い・寒いということになってしまいます。

よく工務店さんがお客さんに、建築基準法通りですから大丈夫ですなんて言いますが、建築基準法は最低限度の法律です。

やはりそれぞれの地域に合わせて、暖かい家にしたいのであれば、それ以上の性能にしなければダメかなと思います。

省エネ基準地域区分地図

この地図を見てもらうと分かるんですが、例えば関東圏の東京あたりは6地域になります。

また、群馬のあたりは5地域で、新潟と同じ地域になります。

関西圏の地域も同じ5地域だったりします。

関西で建てる家と新潟で建てる家が同じ基準でいいということになるわけです。

気温から考えればそうなるのかもしれませんけど、現実的には新潟には雪が降りますので、その雪対策ということも考えなくてはなりません。

 

関西では冬対策も必要ですが、夏対策の日射量をどうやって抑えるかということも、設計の大事なポイントになってきます。

ですので、国の省エネ基準地域区分ありきで家づくりをすると、必ず失敗します。

それぞれの地域の特色を考えて、省エネ基準地域区分を参考にしながら、どれくらい断熱性能を上げていけば快適な住まいになるのかということを考える必要があります。

例えば、エアコン1台で40坪の家を暖めるということになると、この基準ではなかなかそうはいきません。

▼なぜ新潟では断熱性能が重要なのか?深堀して解説

サッシは断熱材と考える

住宅のサッシはいわば、お家にあいた穴。

断熱材を選ぶこともサッシを選ぶこともどちらも重要です。

戸建てフルリノベーションであればどちらも一から変えられます。

サッシ選びとランニングコスト

結論から言いますと、窓は商品の値段とランニングコストを考えながら、どのグレードのものが必要かということを考えて選ぶということが一番大事になると思います。

一般的に住宅メーカーさんがよく使う、外側アルミ・内側樹脂、Low-Eペアガラスのサッシを基準にして説明します。

*「Low-Eガラス」とは、ガラスの表面にLow-E膜といわれる特殊な金属膜(酸化錫や銀)をコーティングしたガラスのことで、主に複層ガラスに用いられています。英語の「Low Emissivity」の頭文字をとって「Low-E」と表記されています。つまり放射を低くする(下げる)という意味を表しており、ガラスにコーティングされたLow-E膜が太陽の熱や部屋を暖房で暖めた熱を吸収・反射します。その効果として、夏の暑さを和らげ、冬の暖房効率を高める等、室内の快適性を高めることに一役買っているのです。

通常、 Low-E 複層ガラスには二つのタイプがあります。Low-E金属膜の位置によって、冬場に太陽の暖かさを取り込みたい南向きの部屋には “日射取得型” のガラス、厳しい西日が差し込む部屋には “日射遮蔽型” といった使い分けができます。

YKKAP㈱カタログより

新潟(五地域)でのサッシ比較一覧

新潟などの5地域で、平均的な1棟分の窓の面積から逃げる熱量は83,400円となります。

これが4地域になりますと、熱量の逃げ方が10~15%アップしますし、3地域ですと20~25%アップします。

リフォーム屋さんと言われる業者の中には、未だにLow-Eガラスを使っていない会社もあります。

Low-Eガラスにするかしないかだけで、実は年間8,500円分も逃げる熱量がアップしますので、年間約92,000円分の熱が窓から逃げるということになります。

確かに商品の値段は安いんですが、1棟あたり100万円かかるサッシを基準にすると、Low-Eガラスガラスではない、普通のペアガラスのサッシにすると90万円でおさまることになります。

しかし、年間約8,500円ずつ多く払うとすると、約11年で元が取れるわけですから、差額の10万円はお金をかける意味があると思います。

更に1ランク上の、外側・内側とも樹脂の樹脂サッシを見てみましょう。

近頃樹脂サッシが増えてきましたが、性能を考えると非常にいいことだと思います。

標準的なアルミ樹脂複合サッシを、樹脂サッシに取り替えた場合、商品は100万円のものが110万円にあがります。

商品は10万円アップするんですが、年間の熱損失量が9,700円分抑えられます。

つまり、年間72,000円くらいが熱を逃がす費用ということになります。

ということは、年間約10,000円ずつ得をする訳ですから、約10年で元が取れるということですね。

それであればやった方がいいんじゃないかということになります。

例えば、5地域で樹脂サッシ・Low-Eトリプルガラスまでグレードを上げるとどうなるかというと、商品の値段は100万円のものが170万円になって、70万円アップします。

確かに性能がいいので、熱損失量が抑えられて、年間約20,000円安くなります。

しかし、商品が70万円アップするので、元を取るためには約35年かかるわけですので、そこまでする必要があるのかという考え方になります。

このように、商品コストとランニングコストを考えながら、サッシのグレードを選んでいくのが良いと思います。

これが2地域や3地域だったりすると、ランニングコストのマイナス分がもっと上乗せになります。

そうすると、元を取るための年数が20年くらいになりますので、2地域や3地域では、Low-Eトリプルガラスのメリットが出てくるということです。

やはり、地域によってサッシとガラスのグレードを考えていくべきだと思います。

また、近頃関西地域でも樹脂サッシが非常に増えてきました。

寒い地域だけではなく、暖かい地域では夏場の熱を抑えてエアコンの効きをよくするために、この樹脂サッシを使うケースが増えてきました。

冬と夏の両方の面から商品コストとランニングコストを考えてサッシ選びをして頂ければと思います。

サッシの形状とコストについて

結論から言いますと、窓の形を変えると30%以上値段が下がるものもあるということです。

性能がいいサッシにしたいけれどコストが上がってしまうので、どうにかして抑えることができないかという場合、窓の形状をちょっと変えてみると値段が変わりますので、覚えておいてください。

例えば、図のPoint1のように、たてすべり出し窓を、開かないフィックス窓にすると、約半分の値段になります。

YKK資料

また、上げ下げ窓にすると、実はたてすべり出し窓よりも値段が上がります。

このように、どんな形状のサッシを選ぶかによって、値段が結構変わります。

サッシの両側が動く引き違い窓で、横幅1650㎜、高さ1100㎜の16511という、腰窓などによく使うサッシがあります。

これを、片側を開かないフィックス窓にすると、値段が15%くらい下がります。

ちょっとデザイン性を良くするために、真ん中をフィックスにして、左右を両側から引き寄せるようなサッシにすると、約1割高くなったりするんですね。

どうしても、見た目も大事ですので、お金を掛けるところと掛けなくてもいいところを考えながら、サッシの形状を選ぶといいと思います。

Point2のように、たてすべり出し窓を並べることがありますが、これもひとつフィックス窓にすると、値段が26%下がります。

YKK資料

このようにして予算を抑えていくのもいいんじゃないでしょうか。

また(よこ)すべり出し窓もそうですね。

これも、ひとつをフィックス窓にすると、値段が28%下がります。

Point3のように、ふたつ並んだたてすべり出し窓の片側をフィックス窓にすると、小さい窓ふたつより、大きいフィックス窓と小さいたてすべり出し窓の組み合わせにした方が、値段が13%安くなります。

YKK資料

更に、片側を横引の窓にすると21%さがります。

引き違いサッシというのは、実は性能面からすると、すべり出し窓よりもちょっと性能値が劣っているんですよね。

たてすべり出し窓の連窓にすると、実は家の気密性能や断熱性能が上がります。

気密や断熱にこだわるのであれば、このようなすべり出し窓を使うのもいいんじゃないでしょうか。

図の一番下のように、すべり出し窓二つを、フィックス窓とすべり出し窓の組み合わせにすると、16%値段が下がりますし、フィックス窓とよこ引き窓の組み合わせにすれば、更に26%値段が下がります。

このようにサッシの形状によって値段が変わりますので、今ある図面のまま進めるのではなく、どうしたら値段が抑えられるのかという打ち合わせも大事かなと思います。

インナーサッシという手段

インナーサッシとはなにかというと、元々あるサッシの内側に付ける樹脂サッシのことです。

結論から言いますと、間取りの変更や外壁を剥がすくらいの工事であれば、インナーサッシではなくて、新築で使うような樹脂サッシを使って頂きたいと思います。

一般的なアルミフレームで単板ガラスのサッシがあります。

新潟や群馬などの、省エネ基準地域区分5地域の場合、アルミ単板サッシの家が、1年間に窓から逃がす熱の量は120,921円分になります。

これが4地域ですと、10~15%多く熱が逃げますし、3地域になると20%以上多くの熱が逃げることになります。

冬暖かくしたいということでインナーサッシを付ける場合、よくあるのが単板ガラスのインナーサッシを付ける方がいます。

正直、それだとあまり暖かくなりません。

なぜかというと、元々あるアルミ単板サッシ断熱に関する性能がほとんどないからです。

図を見てもらうとわかるように、U値といって、熱の抵抗を表す熱還流率の数字ですが、アルミ単板サッシですと6.51W/(㎡・K)であるのに対して、今のLow-E複層ガラスの樹脂サッシは1.48W/(㎡・K)で、全く数字が違います。

つまり、このアルミ単板サッシは、断熱性能的には窓に空いた穴と考えなくてはなりません。

YKK資料より

そこにインナーサッシを付けるわけですから、せめてLow-E複層ガラスのインナーサッシを付けることで、Low-E複層ガラスの樹脂サッシに近づけることができますが、それでも性能は劣ります。

でも、そこまですれば、年間の光熱費を40,000円くらい抑えることができるわけですから、インナーサッシを付けるメリットがあると思います。

ただし、このLow-Eペアガラスのインナーサッシは、けっこう値段が高くて、新品の樹脂サッシと値段がさほど変わりません。

間取りを変更したり、外壁を剥がすような工事ではなく、ただ単にサッシだけを取り替えたいという場合は、インナーサッシもいいと思いますが、窓を治すタイミングでリフォームもするという場合は、新しい樹脂サッシに取り替えることをおすすめします。

なぜかというと、値段がさほど変わらないのに性能がいいからです。

簡単に付けられるという意味では、インナーサッシもメリットがあると思いますが、大掛かりにリフォームをする場合は、インナーサッシよりも性能がいい樹脂サッシを選ぶといいと思います。

戸建てフルリノベーションでは蓄熱を活用する

自然素材の断熱効果と蓄熱効果で床暖房のいらない快適空間づくり

断熱性能が同じなのに、体感(心地よさ)に差がでるのはなぜでしょうか。

それは、“蓄熱”できる量に違いがあるからです。

蓄熱とは?

蓄熱する熱量とは、熱を蓄えておける量であり、高いほどたくさん熱量をため込んでおくことができ、ため込む量が多いほど、断熱材の内側と外側での熱の移動を穏やかにします。

そのため冬の夜に暖房を切っても熱が逃げにくく、朝まで暖かいということになるのです。

ただし、夏季は屋根や壁が長時間熱を受けてしまうと蓄熱し、冷めにくくなってしまいますので、遮熱シートなどで“遮熱”することも必要です。

弊社では自然素材を使用した快適な住空間の提供を推奨していますが、あまり知られていないのが無垢材をはじめとした自然素材の蓄熱性能についてです。

数えきれないほど多くの戸建てリノベーションをして参りましたが、断熱改修の際に、『床暖房の設置』をご要望される方がいらっしゃいます。

しっかりとした床断熱をすることが前提となりますが、仕上げ材に無垢の厚板を床、天井、壁には漆喰で施工されるお施主様の感想を伺うと、床暖房がなくても冬が暖かいと皆様口をそろえておっしゃいます。

これは木が本来持つ蓄熱性あるからです。

ここでは、床暖房のいらない空間はどのようにしてできるのか?どのような素材を使用し、どのような断熱が必要なのか、解説していきたいと思います。

無垢材の密度(比重)に注目する

この図を見てわかることは、木材の熱伝導率の低さです。熱伝導率の数値が小さいほど熱が伝わりにくいことを意味しています。

例えば、スギの熱伝導率は0.087 W/(m・k )で、同じく1.0W/(m・k )のコンクリートの約12分の1であり、それだけ熱を伝えにくいということになります。

鉄と比較すると300倍以上違います。木は熱を伝えにくいということがわかりますね。床を素足で歩く時、タイルだったりすると、ヒヤっと感じると思います。

逆に、無垢フローリングなど床を素足で歩くと暖かいことがわかります。

これらは「熱伝導率」が関係しているのです。

そもそも、なぜ木材は熱伝導率が低いのでしょう。

物質のあたたかさは熱伝導率に関係し、木材の内部に含まれる空気の量、すなわち比重の違いによって熱伝導率も異なります。

比重は、木の繊維と空気の比率を表す数値です。

上の図のとおりヒノキの比重は0.41、スギの比重は0.38、桐の比重は0.29で、桐が一番が軽く、それだけ空気を多く含んでいるため熱伝導率が低く、あたたかく感じるわけです。

金属などと比べて無垢の木はほとんど熱を伝えないことがお分かりいただけたのではないでしょうか?

スギについて

スギを顕微鏡で見た画像

スギを電子顕微鏡で見てみると、 段ボールのように空気層がとても大きいのが見てとれます。

杉の優れた点の多くがこのハニカム構造に支えられています。この隙間は空気です。

このようにスギの細胞の内側は、最も熱を伝えにくい空気が詰まっているおかげで、夏は冷房効果、冬場は暖房効果を高めてくれます。

そのため木材の熱伝導率は低いのです。

気温の低い冬場には、触れても肌から熱が奪われず、自分のぬくもりを実感できるため、心地よいと感じるのです。

「木」の種類によっても、熱伝導率が異なるため、あたたかさも異なります。

例えば、針葉樹のスギと広葉樹のカリンを、実際に触って比べてみると、断然スギの方があたたかく感じます。

断熱と快適性を重要視すると、最も大切な事は、木の比重だということはおわかりいただけたのではないでしょうか?

言い方を変えると、材質が緻密な木は比重が高く材質に隙間が多い(空気が多い)木は比重が低いとなります。

この比重が低い=空気が多い ことが蓄熱性を示す一つの指標になって参ります。

では無垢材であれば何でも良いのかと言われると、無垢材の中でも様々な樹種があり比重は異なります。

広葉樹の場合は、比重が0.6〜0.7ぐらいのものが標準的といえます。

針葉樹は比重が少なく、杉は0.38、ヒノキは0.41です。

針葉樹は、標準的な広葉樹に比べ、軽くて柔らかい材質ということです。

断熱材としての効果を期待するのであれば、比重の少ない樹種を選定するのが良いことがお分かりいただけるでしょう。

しかし、注意が必要なのは熱伝導率の優れた木材の特性も、表面をウレタン塗装などで完全にコーティングしてしまうと、塗装の被膜によって熱く感じたり冷たく感じたりします。メンテナンスの面では有利かも知れませんが、これではせっかくの木の温かみが台無しです。

最近では無垢材や自然素材が見直されていますが、これらを使う場合は塗装の有無、各種塗料の性質についても、よく調べておくとよいでしょう。

床暖房不要の床断熱方法とは

断熱仕様で建物を検討する際に、断熱材としてのスギの魅力はお伝えしました。

しかし、そのまま杉板を張れば床暖房不要の快適な空間になるのか?と言われれば答えはNO!です。

床下の断熱材が床下空間の冷気をシャットアウトすることが前提となるわけです。

冬場にいくらエアコンの暖かい空気を吸い、スギが蓄熱しても、床下の寒気によってスギ板が冷やされてしまっては、その断熱性能を十分に発揮できません。

ここでは、杉板の蓄熱性を最大限生かす床断熱について解説します。

左が一般的な床断熱材として使用されるウレタン35㎜+捨て貼り12㎜+新建材カラーフローリング12㎜です。

右が弊社が標準としているミラネクスト75㎜[ 特寸]+防湿シート+捨て貼り12㎜+杉板30㎜です。

つまり、しっかりとした床断熱工事を前提として、比重の軽い木材(主に針葉樹)を採用することで床暖房不要の空間となるのです。

断熱と蓄熱について(床だけではなく断熱材の選定も慎重に)

ここまでは素材に含まれる空気の量(比重)という指標をみて無垢材の特性を見てきました。

ここではもう一つの指標となる蓄熱(容積比熱)も見ていきたいと思います。

床だけを比重の低い空気量の多い素材にすれば部屋全体が快適になるのか?といわれればそれは違います。

環境温度という指標があり、人間が最も快適な環境温度は23℃と言われております。

床と壁の温度を足して2で割った温度がその環境の温度になります。 例えば、冬に壁の温度が26℃で、壁が20℃の場合、環境温度は23℃になり心地よい温度という考え方です。

環境温度=(床温度+壁温度)÷2

つまり床だけを26℃にしても壁の温度が10℃では環境温度は18℃となってしまいますので、寒い空間ということになります。

環境温度を快適な状態にするために必要なのは、理屈から考えると壁の温度はどのようにしたら高くなるのか?

ここで最後に押さえたい数値が比熱になります。

断熱材の選定の際に、一般的に使用されるグラスウールとセルロースファイバーを比較してみましょう。

両者の熱伝導率はそれぞれ、0.044と0.038となりそこまで差がない事が見てわかります。

つまり断熱性能だけで考えてしまうと両者の性能はそこまで変わらないという結論になります。

断熱というとどの素材も熱伝導率で話をすることが多く、この比熱という指標を軽視しがちです。

しかし、容積比熱(温まりやすさ)をみてみてください。それぞれ13.4と103.4となり、約7.7倍も蓄熱性が違うことがお分かりいただけるのではないでしょうか?

杉の比熱をみてみると783となり蓄熱性が高いこともここで理解できます。

床・壁・天井の温度を実測

蓄熱仕様が完成したところで、温度計と赤外線による温度計を使用し、どの程度の蓄熱性があるのかをテストしましたので見ていきましょう。

テストは外気温15℃の日に、室内のエアコンの温度設定を25℃設定(蓄熱性を検証するためにあえて高い温度設定としました)して、天井・壁・床を測定しました。

まずは天井です。天井を赤外線温度計で測定すると、30.8℃となりエアコン設定よりも天井温度が5℃以上高い結果となりました。

壁は、30℃となりました。

肝心な問題の床はどうだったのか?

こちらは28.8℃となりました。

結果として、スリッパなしで、素足で温かさや心地よさを体感できる空間となりました。

また全体として、天井、壁、床全体が蓄熱性の高い素材を使用したためエアコン効率が劇的に向上し、電気代の節約にも寄与することを実感することができました。

環境温度の話をしましたが、床だけでなく壁の温度も蓄熱性の高い素材を選定することが、空間全体の快適性が高まるということをご理解いただけたのではないでしょうか?

床や壁が熱を吸って蓄熱しないような材料の場合、暖房を26℃設定にして暖めても、壁の温度が10℃であれば、環境の温度としては18℃になるので、冬寒い空間ということになります。

やはり周りの内装材が熱を吸って蓄熱してくれるということが、居心地の良さに繋がりますので、冬でも床暖房がなくても快適に過ごすことができるということです。 このようなことからも、内装に蓄熱性の高い素材を使うということを考えていただくと良いと思います。

また、自然素材などであれば、ホルムアルデヒドを放散しないので、法律上義務付けられている24時間換気にも必要以上に頼らない、快適な室内空間になると思います。

これらのことを考えて内装材を選んで頂ければと思います。 今、子供のアレルギーは深刻な問題になっていますし、健康を保つための医療費も大きな問題になっていることを考えると、やはり体に良い素材で家づくりをするというのは、賢い選択になると思います。

自然派ライフ住宅設計㈱のリノベーションとは

自然派ライフ住宅設計㈱のお家造りは、新潟市で自然素材を使用した性能向上リノベーションです。今あるお家を健康で快適な住継げるお家にすることです。

つまり、お家を温かく涼しくしながらも、間取りを変え、素材を一新し、耐震性能を向上させる。ことができます。

お客様のお家を性能向上させてより住みやすく快適に、尚且つ大事なご家族の皆様が住み続けられるように変動した家族構成に対応するお家造りを行っています。

そうしてお家の歴史を繋いでいくことが、親から子世帯への繋がりを結び続ける事だと考えています。

新潟市内のお客様から県外からのお客様まで幅広い年代の方にご相談頂いています。
ぜひ一度ご相談ください。

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▼性能向上リノベ デザインアワード2022 特別賞受賞

YKK AP  HP性能向上リノベデザインアワード2022より当社ページ抜粋

▼株式会社建築知識様(エクスナレッジ様)の新建ハウジングにも20~30回以上掲載頂いています。

▼中立な立場で住宅診断を行うホームインスペクターである有名な市村崇様の著書にも新潟県で唯一選考頂きました。

 

▼戸建て性能向上フルリノベーションの流れ

  1. 戸建て性能向上フルリノベーションの流れ 工事前準備について
  2. 戸建て性能向上フルリノベーションの流れ① 解体工事から木工事へ
  3. 戸建て性能向上フルリノベーションの流れ② 木工事に入る前の調整について
  4. 戸建て性能向上フルリノベーションの流れ③ 木工事の床や壁下地と床断熱について
  5. 戸建て性能向上フルリノベーションの流れ④ 木工事と壁断熱吹付について
  6. 戸建て性能向上フルリノベーションの流れ⑤ 木工事と外負荷断熱施工について
  7. 戸建て性能向上フルリノベーションの流れ⑥ 木工事の床仕上げと外壁漆喰塗り
  8. 戸建て性能向上フルリノベーションの流れ⑦ 木工事完了と外壁仕上げについて
  9. 戸建て性能向上フルリノベーションの流れ⑧ 内部仕上工事~完成へ
  10. 戸建て性能向上フルリノベーションの流れ⑨ 完成とビフォーアフター