現場スタッフから
遅くなりましたが新年明けましておめでとうございます。
もう2月ですが、現場スタッフからのブログ更新ができていませんでした。
夏頃から色々と重なりバタバタしておりました。
いまは新しいショールームの引っ越しも終わり落ち着いてきました。
今回は【自然素材(蓄熱)×耐震3等級×断熱G2クラス×古材】という、最強の室内住環境と耐震性能に拘り抜いた新しいショールーム型の事務所に引っ越してきて一か月たちますので、実際に過ごしてみてわかることや思う事をブログにて発信していきますね。
高性能な建物に引っ越して思う事
なんといっても、まずは空調がストレートに効くことです。
エアコンの設定温度が直で室内温度になります。
今までお借りしていた物件では、通常業務用エアコンを回す間取りなのですが、
当社の場合は業務用エアコンではなく、一般家庭用エアコンをつけて空調を回していました。
やはり、若干パワー不足が否めませんでした。
また、冬は+で火力のあるだるまストーブで空調をしていました。
なので冬はストーブを2日間使うとすぐに石油不足のアラートがなりそのたび給油。
(あの音を今シーズン何十回と聞きました。)
ついに石油を積んで事務所にいく事がなくなりとても楽になりましたね。
なにより、ご来店されたお客様にご実感頂ける事が最大のメリットです。
1Fにあるエアコン一台をつけておけば、2Fでもエアコンの設定温度と同じぐらいの室温になっています。暖房で25度設定にすると外は氷点下でも汗をかくぐらいです。
夏~冬をまたいだ工事だったので、まったく同じ場所で暑さと寒さを実感してきましたが、できあがるとやはり違います。
木工事開始直後は真夏日で、外回りを塞いだ写真の状況では休憩を細かく挟みながらの作業でなんとか持ちこたえました。
冬期間は断熱材を施工した後だったので、空調はついていませんでしたが、動くとそれなりに暖かくなり、厚着をしてきた皆さんは汗をかきながら作業していましたね。
ちなみに実際に使用しているエアコンはこちらです。
CS-TX633D2-W
パナソニック20畳用 フル暖エアオリア
*実際は約50~60畳温まっていますね。
断熱性能は大事ですね。
古材を活用した構造体と空間
見どころとしては、やはり古材をフル活用したところにあります。
この古材は新潟県は阿賀町にある約200坪の100年以上歴史のあった空き家から、採取したものです。
採取直後は色褪せてますが、実は現状でまわっている新材よりも強度はすこぶる高い数値がでています。
木材は100年近くかけて強度があがっていき、その後何百年という途方もない時間を耐えながらゆっくりと強度が戻っていきます。
この特徴を活用したのが、古民家再生協会にて現状の深刻な空き家問題を解決するために行われている、古民家の移築事業です。
当社でも関係しているプロジェクトになります。
新しいショールームにも取り入れさせて頂きました。
工事の流れとしてのイメージは、建て方時に現場にはいるプレカット材にこの古材が混ざっている感じ。
新しい材料と見どころの古材を使った梁を現場で繋げていきます。
簡単そうにみえますが、裏ではとても手間がかかっています💦
大工さんが採取した古材を一本一本加工してます。
これが大変なんですね。
一本30~60kg使くある材料はひっくりかえすのも大変です。
なにより長い時間かけて水分が抜けた材料は、ノミも簡単にはいりません。
チェンソーを使っても中々切れませんでした。
そんな材料たちを、他の部材と繋がるように加工しています。
古材は工場の加工する機械に入りませんので、こういった加工になるわけですね。
ですが、昔のお家は今は製造されない大きさの規格でつくってありますので、写真のように大きいスパンで吹き抜けをつくり開放的な空間になります。
デザイン性もそうですが、これもメリットの一つです。
深刻な空き家問題の一助となり、代々引き継いできたお家の歴史を紡いだことにも意味を見出します。
自然素材を使ったメリットに蓄熱というものがあります
自然素材を使った木の家に住みたい、という需要はますます増してきている気がします。
ただ、他社様のHPやブログで勉強させて頂いていても、「蓄熱」というワードがあまりでてきません。
これは「木のぬくもり」というワードでひとくくりになっているだけかもしれませんが、
実はとても実用的で自然素材の家を決める際に考慮する大事なポイントだと考えられます。実際に過ごしてみてそう思うわけです。
特に床材は蓄熱を使う大事なポイントかと思います。
通常のフローリングは合板のような板材にデザインをプリントして塗膜処理を行います。
そして、厚みは12mmが今の規格で多いですね。
つまり、合板やプリントシートに蓄熱効果はないため、床が冷たかったりするわけですね。
なにが違うのか施工の段階からご説明していきます。
無垢床材の施工
写真は実際に施工された杉をうずくり仕上(節目を少し浮かせた仕上)した、厚みが30mmもある材料です。
余談ですが、厚みがここまで厚いと、通常フローリングに使うホッチキスの針のような金物では留まりません。
長さのあるビスをしっかりと、短いスパンで一枚あたり何本もとめていきます。
加えてボンドで固定してます。
断面をみるとわかりますが、フローリングと違い、合板+プリント+塗装膜のように何層にもなっているわけではないんですね。
つまり、無垢の床板は熱をしっかりと吸う事ができるんです。
無垢材を使うと室内環境は具体的にどうなる?
これを見てください。今撮ってきました。
写真の計測はエアコンのある部屋の隣、エアコンから離れた場所です。
左上はエアコンのリモコンです。
22℃で設定しています。
右上は温度計です。室内の気温が24~25度あります。
1Fでこの気温ですね。
24~25度で推移しています。
下のレーザーポイントは表面温度の計測機ですね。
床板との室内温度との差が1℃未満です。
つまり、エアコンをつけるだけで、床表面温度がエアコンの設定温度+1℃~2℃となり、24℃前後の床暖をつけるのと同じわけです。
ちなみに、常時扉を閉めていて風が周りずらく、1畳分の空間で24時間換気しているトイレでも、22℃設定で19℃~20℃をたもっています。*厚みはヒノキ15mmです。
普及品フローリングではここまで蓄熱してくれません。
これを家中で行っているわけです。
階段の踏み板でも同じくですね。
規模感の同じお家で一日中床暖房をいれると、施工費数十万+毎月5,6万のランニングコストがかかるわけです。
今は電気料金の高騰化のあおりをうけて、せっかく床暖を施工したのに使っていないというお家もよく耳にします。
無垢床のデメリットと解決方法
ただ、無垢材のデメリットとして、ヨゴレというものがありますね。
なので、当社ではワックスをかけて水汚れやシミ対策を行っています。
色を付ける場合は、下塗り+上塗りで仕上も綺麗になるように施工するのがマストです。
ただ、キッチンやトイレ等の水廻りでは無理やり上記のような材料を使う必要はないかもしれません。
無垢材+塗膜のような無垢フローリングという建材もありますので、特にヨゴレや水処理が気になる場所は、フローリングと無垢材を使い分けて考えることも必要です。
ちぐはぐにしてデザインが気になる場合は無垢材で統一して、キッチンマットや定期的なワックス施工を行う事で解消できますね。
他にも傷がつきやすいから敬遠しているお客様もいらっしゃいますが、傷がつきやすい分なおすのも簡単ですのでご安心ください。
ただ、治ると言っても完全に元通りになるわけではありません。
100%が75%になる、というイメージです。
G2クラスの断熱ってどういう施工になる?
ここまでつらつらと過ごしてみて無垢材の蓄熱を実感したという話をしてきましたが、これは前提として、断熱がしっかりしているという事が大事。
そもそも断熱性能とは?簡単に説明いれますね。
そもそも断熱性能の指標とは
最近はエンドユーザーの皆様も断熱性能がどういった表現で数値化されているか知っている方も多いですね。
断熱性能は、はっきりとしたものではないですが国が基準を定めています。
ただ、国の基準は最低限のものです。
これとは別に、HEAT20という団体が提唱した断熱基準が、2023年現在で最も多く用いられているのではないでしょうか?
ずばり今の断熱性能は「体感温度」に重きをおかれます。
少し前までは、その部位の熱の逃げやすさを表すU値(熱貫流率)が用いられていましたが、今は建物全体がどれだけ熱を逃がすかを表すUA値(外皮平均熱貫流率)が用いられています。HEAT20もこのUA値から、G1~G3までランクを付けているわけですね。
そして、このランクに対して、「体感温度」が概ね○○℃を下回らないこと、という指標が付けられています。(地域性を考慮されたもので、1~8地域によって基準が変わります。)
当社のショールームは新潟においての、G2クラスとなります。
*当社では、G1→G2にお家の性能をランクアップさせたときにかかるコストを考えると、断熱材やサッシの選定時はG1クラスに留めておき、ここに前述にもある無垢材の蓄熱効果で、コスパ良くG2クラスの室温にしています。
G3ランクはそもそも一般的な戸建て住宅においてはコストがかかりすぎるのに、基準の体感温度はG2から1℃前後しか違いません。
そのため、あまり実用的に用いる基準ではない?かと思います。
じゃあ実際の断熱施工はどのような?
ここまで長くなりましたが、どのような施工か見て頂ければと思います。
それぞれ実際にお客様にご提案している材料と同じです。
床はこのように、75mmある断熱材をすっぽりとはめ込んでいきます。
土台の大引きの隙間はスプレー型の断熱吹付材で空気が通らないようにしてますね。
これは壁の吹付断熱ですね。
硬質ウレタン現場吹付工事となります。
詳しい方は気付くかもしれませんが、断熱材が柱の手前側まできています。
実は、この硬質ウレタンという材料は冷蔵庫やコンクリートでできたビルなどにも使用される断熱材です。
これを100mmの厚みで吹き付けました。
*求める性能によりますが、一般的に普通は50~70mmをよく見るというところでしょうか?
細かい話ですが、今回のショールームにおいては、G1→G2にするにはサッシの性能をあげなければなりません。
このサッシの変更でとてもコストがかかります。
なので、断熱材の厚みを調整してG2クラスに底上げしているんですね。
お客様のお家の断熱性においてG2クラスを最初から提案しないのはここにあります。
数字を追いかけて無理やりコストを掛けてG2にするのではなく、数字はG1の性能にとどめて、+無垢の蓄熱効果で室内環境をよくするご提案をしています。
前述にもある、温度計での計測結果は、G1クラスのお家でもおおよそ同じでした。
*細かい計測方法は違いますが
ちなみに、やみくもに断熱材を厚くすれば良いわけではありません。
当然金額もかかりますしね。
ただそれだけではありません。
壁の中がパンパンになっていれば、後からの工事が非常に大変です。
*ショールームであれば、このへんが考慮しなくても良いわけです。
これは、照明のスイッチになるものです。
どうでしょうか?後から細工をすることができなくなります。
(断熱材を吹くのは原則外周面なので、室内の壁は影響ないです)
吹付後に間違いに気づいても動かせません。変更がある場合は非常に困りました。
次は天井です。
セルロースファイバーという断熱材ですね。
簡単に説明すると、ビニールパックに入ったグラスウールを袋からだして、細かくなった材料を隙間ができないように吹き付けるイメージです。
実際は新聞紙を細かくくだいて乾燥させてような材質です。
これを300mm施工しています。
200~250がよく聞く厚みでしょうか?
一般的なパックのグラスウールと比べると、そこまで材質の熱伝導率は変わらないのですが、厚みをつくれるのと、グラスウールの弱点である施工者によってマチマチな品質を一定に近づけられることがメリットですね。
ちなみに、写真はないですが、屋根の形状的に300mm吹き付けられないところもでてきますが、予め吹付前に天井の垂木間に入れる板状の断熱材をいれています。
サッシについては長くなるので割愛
あとは、床点検口や天井点検口といったところでしょうか?
サッシは家に空いた穴。
天井点検口等もそうでしょうとも。
こういったところに高断熱高気密型の製品を使用します。
自然派ライフ住宅設計のショールームに是非遊びにきてください。
長くなりましたが、上記の見出しの通りです。
これが伝えたかったという話です。
ここでは古材、自然素材、断熱についてフォーカスしましたが、もうひとつ耐震性能も等級3相当になっており、お客様にオススメできる仕様です。
当社は新築・リノベーションともに、住空間にこだわっていますが当然耐震性能もこだわります。
そして、ショールームの室内環境は、お客様にご提案している室内環境ともほとんど変わりません。
*当然間取りによっても各種変わります。ショールームの断熱施工は広い続いた空間ということも考慮しています。
結論として、施工から携わり実際に引っ越してみて思う事は、ぜひ実際にご体感頂ければと思いました。
なぜなら、今回の施工にあたっては標準で使用する材料や施工方法ではなかったのもありますが、実際に現場で作業していてもここまでの住空間になるとはわからなかったからです。
つまり、カタログ資料やwebの情報だけではお客様には伝わらないのだと考えられるからです。
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