「家づくりははじめて」という方がほとんどだと思います。
一体なにから始めればいいのか見当もつかないというところではないでしょうか。
そんな方々に、まず一歩踏み出すためのヒントをお伝えしたいと思います。
まず、家づくりはどこに頼むのがいいの?
ハウスメーカー
ハウスメーカーはブランドによって得意とする工法が異なってきます。
多くのハウスメーカーは、2×4や2×6といった、壁で支える工法をとっています。
メリットとしては、工期の短さ、性能の高さ、長期保証による安心感がありますし、デザインは洗練されているものが多いです。
デメリットは、壁で支える工法の場合、家族構成の変化などによる増築や改築には向かないという面もあります。
注文住宅でなく、規格住宅で建てる場合、規格プラン以外に追加・変更する場合、高額な追加料金が掛かることがあります。
また、広告宣伝費や人件費など会社を維持するためのコストが掛かるため、全般的に価格が高い場合が多いようです。
工務店
工務店は在来工法(柱・梁・基礎で支えられた建物)を得意とすることが多いです。
規模は地元の一人親方の会社から大規模な会社までさまざまです。
メリットとしては、細かい融通やリクエストを聞いてもらいやすい、建築費のコスト調整がしやすいなどがあります。
細部までこだわり、自分のスタイルを反映させたい方に向いています。
また、在来工法は増築や改築など間取りの変更に対応がしやすいところが、長い目で見たメリットになります。
デメリットは最新のデザインなどに疎い人が多いことや、職人によって腕にばらつきが出やすいので、施工事例などを確認しましょう。
設計事務所
設計事務所は、建物のデザインを専門としており、おしゃれな建物や凝った建物を建築したい方に向いています。
合わせて、建築を工務店や建設会社に依頼した場合は、建築過程で監理者として、建築が問題なく進んでいるかの確認やコスト管理などを行ってもらえます。
デメリットとしては、設計費用が別途かかるために価格の低い建物の場合、コスト管理以上に費用がかさみがちです。
会社選びはパートナー選び
家づくりは、自分たちの思いをいかに建築のプロに伝え、カタチにしていくかが重要です。
家は建てて終わりでなく、長く快適に暮らすためには定期的なメンテナンスも必要なので、建てた住宅会社とは長い付き合いになります。
つまり、会社選びは“信頼できるパートナー”を見つけるということなのです。
自分達の思いに真摯に耳を傾けて、思いを引き出し、それを上回る提案をしてくれるか?
建築のプロとしてきちんと細かく説明し、メリット・デメリットも隠さず教えてくれるか?
きちんと丁寧な仕事をしてくれるか?
どんなことでも気軽に相談できるか?などです。
何度となく話をする中で「自分たちの思いを託して家づくりを任せられ、これから先も信頼して付き合っていけるかどうか」を見極めることが大切です。
デザイン重視なのか、長い目で見た間取りの可変性なのか、コストなのかなど、家づくりの優先順位をご家族でじっくりと話し合い、ホームページや資料請求で、自分たちの考えにより近い会社と、納得がいくまでお話ししてみてください。
家づくりに必要なお金って何があるの?
土地購入費
・土地代(立地によって最も価格差が生じます)
・仲介手数料(土地代の3%+6万円+消費税が一般的です)
・契約時の印紙代
・登記費用(今の持ち主から購入者へ所有権を変更するための所有権移転登録免許税、及びその申請書類を作成する司法書士費用)
◎ローンを組む場合にかかる費用
1.事務取扱手数料
2.ローン保証料(住宅ローンの債務者がやむを得ず金融機関へ住宅ローンを返済できなくなった際、保証会社に代わりに返済してもらうため、保証会社と保証契約を結ぶ費用)
3.団体信用生命保険料(融資を受けた者が亡くなった場合に残額を全て支払うための保険)
4.抵当権設定登録免許税(抵当権とは、住宅ローンをするときに建物と土地に担保権を設定することです。債権者(金融機関等)は、住宅ローンの返済が困難であると判断すると、建物と土地を競売にかけることができます。抵当権を抹消するためには住宅ローンを返済することが必要になります。)
・不動産取得税(不動産を取得した場合に課される税金を言います。課税する団体は、取得した不動産が所在する都道府県です。要件を満たせば軽減措置があります。)
・測量費(通常は売主負担ですが、購入後に測量をする場合があります。)
本体工事費
いわゆる基礎工事、上棟工事、屋根敷設工事、電気・ガス・水道などの設備敷設工事、断熱工事、内装工事などが該当します。
あれもこれもと要望を詰め込み、こだわりを叶えようとすると、どうしても予算を超えてしまうものです。
そんな時は自分たちの要望を今一度見直し、整理してみましょう。
要望にあらかじめ優先順位を付けておけば、順位の低い要望を削ることで予算オーバーを防ぐこともできます。
プランを作成するときは、間取りや施工面積を見直すだけでなく、使う材料や設備などを変えてコストダウンするなど、担当者と相談しながら進めましょう。
付帯工事費
地盤改良費・カーポートなどの外構費・カーテン・造り付家具など建物本体以外の工事です。
建替えや古家付の土地を購入する場合はその解体費なども該当します。
諸費用
建築請負契約に関わる印紙代、新たに建物を建てたことを登録するための表示登記登録免許税及び司法書士費用(土地購入の際にかかる費用とは別に必要)、また火災保険料などが該当します。
■土地の表示登記(表題登記)
土地がどの場所にあり、地積(面積)は何㎡なのか、土地の地目は何であるか、いつどのような原因でできたのか、所有者はどこの誰であるのか、土地の表示登記を行うことで、これらが登記されます。
■建物の表示登記(表題登記)
建物がどの場所にあり、建物の種類や構造は何であり、床面積は何㎡なのか、いつ新築され、いつ増築・減築されたのか、いつ取り壊されたのか、所有者はどこの誰であるのか、建物の表示登記を行うことで、これらが登記されます。
このように、表示登記(表題登記)は、不動産の物理的現状を明らかにすることを目的としています。
その他に、地鎮祭や、神棚・仏壇の移動などの神事・仏事に関わる費用などもこの諸費用に含まれます。
*建替えの場合は、建築中の仮住まい費用も考えておかなければなりません。
土地と家の代金以外に、様々なお金が掛かってきます。
不動産会社や建築会社に、詳しく確認してからローン金額を設定しないと、後で大変なことになります。
そして、諸費用については、ローンを設定する前に、金融機関にどのくらいかかるのかを詳しく確認しましょう。
家づくりの流れは?
家づくり初めの一歩
最近は、WEBで各社のホームページを閲覧して、自分の建てたい家づくりのイメージに近い会社に資料請求したり、メールなどで相談を始める方も多くなりました。
その中で数社を選び、家づくりセミナーに参加したり、展示場があれば見学するなどして、建築依頼先を決めていくことが多いようです。
土地選び
紙面やWEB上で選定した複数の土地情報を、子供の学校区や、実家との距離、通勤・通学や買い物など生活の利便性などを考慮して絞っていきます。
しかし、何より土地を先に探してしまうと、土地に予算を掛けすぎて建築予算が確保できず、総予算がオーバーしたり、住宅会社の選択の幅が狭まってしまうことにもなりかねないので注意が必要です。
また、価格や条件が希望通りでも、その土地に建てたい家が建つとは限りません。
建築基準法による規制をはじめ、道路、風向き・日当たり、隣地との境界線や高低差、ライフラインなども要チェックです。
災害リスクや地盤強度なども確認しておかないと、その対策に想定外の費用がかかり予算オーバーなんてことになりかねません。
候補地が見つかったら、検討している住宅会社に建築のプロの目線で土地を見てもいましょう。
素人判断で購入せず、必ずプロの見極めを聞くことが不可欠です。
そのためにも、まず信頼できる建築依頼先を決めて、そのスタッフと同行することで、家づくりの総予算に対する土地購入費と住宅建築費などのバランスも事前に調整することが可能になります。
現地調査
候補となる土地を周っていきます。
不動産会社など土地の専門家と周るのも良いのですが、「家づくりのための土地探し」ですので、できれば建築依頼先の設計士にも同行してもらい、その土地にどのような建物が建てられるかや、方角による採光なども考慮してもらいながら土地を決めていくと、よりスムーズに建築プランを進めることができます。
現地調査では、周辺環境・道路との関係・陽当り・隣地との境界が入っているか・電気・ガス・水道の元栓やメーターがあるかなどを専門家と確認することが大切です。
また、購入者自身で異なる時間帯に見に行くこともおすすめです。朝晩の周辺の交通状況などを確認することができます。
プランづくり
希望する土地が決まれば、購入申込書を提出して土地を抑える必要があります。
並行して、建築依頼先の会社にラフプランでもよいので提案してもらい、その土地に希望する住宅ができると判断すれば、ローンが借りられるかの事前チェックに移行します。
融資事前申込
多くの場合、購入申込書を提出するのと同時に、ローン依頼予定の銀行に出向いて、そのフォームに従い事前審査を申し込みます。
最近は、パソコンやスマートフォンなどを使って、WEBでの融資事前申し込みも増えてきました。
書類を提出すると、3~4日以内に融資できるかどうかの仮結果がもらえます。
土地を購入して戸建てを建築する際は、建築費用に対する分も併せて融資申し込みます。
融資が問題ないという目途が立てば、契約という流れになります。
契約
土地売買の重要事項説明書・契約書の内容を確認し、問題がなければ署名捺印を行い、手付金を支払います。
その後、すぐに融資の本申込をします。
土地の引き渡し及び残金決済は契約の1カ月~3カ月後までの間に設定されることが多いです。
融資の本審査結果が問題なければ引渡・残金決済へ、万が一結果が融資不可であれば融資条項により契約を白紙撤回します。
できれば、土地の売買契約締結までには、建築依頼先を決定して、ラフプラン及び見積書を提出しておいてもらうと、総予算の検討をつけやすくなります。
土地の引き渡し後、工事請負契約を締結し、契約金(100万円~500万円程度)を支払います。
地盤調査
建物の安全を担保するために、瑕疵(かし)保険への加入が義務付けられており、地盤調査は必ずしなければなりません。
サウンディングやボーリングと言われる専門的な調査で、地盤の強度や支持層の深さ、沈下の判定などを行います。
これらは、建築依頼先の会社が斡旋した専門の会社で行ってもらえます。
地盤調査の結果によって、その土地に合った地盤改良工事を行う必要があります。
最終図面の確認
着工に入るまでに設計プランを協議し、いよいよ最終図面の確認を行い、請負契約となり、これを元に建築確認申請を行います。
確認申請提出後は、規模・階数・用途など大きな変更は再度の確認申請提出が必要になりますので、要望がきちんと反映されているかをしっかりと確認しましょう。
軽微な変更であれば変更届で問題ないのですが、着工後の変更は追加費用が発生する可能性があります。
しっかりと内容を確認しておきましょう。
着工
着工は地鎮祭など安全祈願をしたのち(*任意)、位置出し・墨出しを行い正確な配置を確認します。
その後、基礎工事・配管工事・上棟(柱・梁の組み上げ)・上棟式(*任意)・ 屋根工事・壁工事・設備配管工事・断熱工事・内装工事・クロス貼り・仕上げ・電気機器などの設置工事といった流れになります。
2×4工法の場合は、上棟前に壁パネルを枠組みします。
検査
建物が完成した後に、建築確認申請を提出した機関による完了検査が行われ、問題なければ検査済証をもらえます。
将来、売却する場合に使いますので大切に保管しておいてください。
最後に、施主による現場確認が行われますので、気になるところがあれば、その時に伝えるようにしましょう。
完成・引き渡し
検査や現場確認での指摘事項を全て修復して、晴れて引き渡しとなります。
カギの確認や、設備機器の使用方法などの説明を受けて、設備機器の資料や引渡し書類なども受領します。
保証・定期点検
一戸建てを新築した場合、「住宅の品質確保の促進等に関する法律(品確法)」により竣工から10年間は保証されます。
柱・梁・屋根・基礎・壁等の基本構造部に欠陥が見つかった場合、施工会社に対して損害賠償請求ができます。
その場合、施工会社は無償で修理することが義務とされていますので、気になることがあれば、施工会社に相談するようにしましょう。
大手ハウスメーカーなどでは、20年、30年といった長期保証をセールスポイントにしているところもありますが、何かあったときにすぐに対応してくれる建築会社が一番信頼できます。
又、設備機器にもメーカー保証が付いていて、保証期間は1年~5年程度ですが、機械には初期不良が一定以上起こりえますので、使い始めて違和感がある場合には、早めにメーカーに点検を依頼しましょう。
失敗しない家づくり第一歩のために
家づくりは、一般的に一生に一度の大仕事です。
一生に一度ですから、わからないことだらけで不安も大きいと思います。
その不安を、少しでも取り除くために、家づくりについてきちんと勉強して、知識を蓄えることが大切です。
コマーシャルやイメージだけにとらわれずに、その知識をもって信頼できる建築依頼先を見定めてください。
プロとしてのアドバイスをしてくれる、見積書の内容も詳細に説明してくれる、追加金額が発生しないような施工内容になっているなど、チェックポイントはたくさんあります。
そういう信頼できる会社を見つけて、限りなく理想に近い家づくりを目指しましょう。
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