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リノベーションでも耐震性能を向上できます
戸建てフルリノベーションにおいても耐震補強を行い性能を向上させることができます。
ここでは耐震の重要性とポイント、知っておきたいことをあげていきます。
▼リノベーションでの地震対策について制震ダンパーの詳しい解説はこちら
耐震と制震の違い
写真には耐震と制震を二つ並べていますが、一般的によく言われているのが耐震構造のほうではないでしょうか。
耐震構造
建物を固くして、地震エネルギーに対抗するのが耐震構造です。
耐震構造の建物は、その強度を上回る強い揺れがきた場合、内部の構造が壊れて弱くなり、揺れやすくなる可能性があります。
制震構造
それに対して制震構造は地震エネルギーを吸収するというつくり方です。
制震材などを利用して、建物の揺れを吸収する方法です。
確かに揺れるんですが、壊れないということです。
繰り返す揺れにも有効なので、建物の性能を維持して損害から守るというところがポイントです。
とかく、どちらかに偏った話になるんですが、私は耐震も制震もどちらも必要で、つまり混合させたつくり方というものが大事になってくると思います。
例えば、地震がきたときに耐震構造はある程度までは建物を守ってくれます。
ただし、2階建ての建物の、2階の柱の頭が10㎝横にずれてしまうと、もう元に戻りません。
20㎝までずれると倒壊してしまうということになります。
1階部分がペシャンコになってしまうという、とても危ないことになります。
また、制震構造は揺れて元に戻るという力がありますので、20㎝以上ずれると大破になって建物として機能しなくなりますが、倒壊はしないということです。
建物の強さとは
建物の強さとは固くすればいいというものではありません。
強さと粘りが必要です。
建物の耐力・変形復元能力・減衰性能の3つが大切です。
どちらも良いところと悪いところがありますから、耐震構造で耐震面材などで建物が壊れないようにして地震から守り、繰り返す地震の揺れには、揺れて元に戻すという制震構造で補ってあげるというのが、設計の大事なところなんじゃないかと思います。
制震とはなにか?
地震エネルギーを吸収する「制振部材」を建物に組み込むことで、地震発生時の揺れを軽減させます。
柱や梁といった主要構造部材を損傷させないため、建物の被害が少なく、継続使用が可能になります。
震度7の地震が何度も起こるような場合、最初は耐えられても、何回も揺れることで倒壊してしまうことがあっては意味がありませんから、やはり粘りのある建物にしなくてはなりません。
そのためには制振ダンパーというものが必要になると思います。
この制振ダンパーですが、1階の柱と2階の梁に斜めに設置していきます。
制振ダンパーにもいろいろなタイプのものがありますので、種類は選んでいいと思いますが、この油圧式ダンパーにすると、新築でも戸建リノベーションでもどちらも施工しやすいという面で、とてもメリットがあると思います。
この制振ダンパーを付けると、震度7の地震の揺れを震度5に抑えることができるということになります。
写真左上のように、建築基準法を遵守してつくった建物で、震度7の地震が起きた場合、2階の床部分が約33㎜動くという計算になります。
それが制振ダンパーを付けることによって、半分以下の15㎜以下に抑えることができます。
つまり、建物が壊れにくくなるということです。
実例をあげてみます。
これは私がお世話になったお宅ですが、40坪総二階建ての建物です。
この時、耐震等級3まで上げたかったのですが、新潟という地域性で、どうしても積雪荷重を考えますと、耐震等級3まで上げてしまうと、1階の壁量が増えてしまって、最初に計画していた24帖のLDKがとれなくなってしまうことになります。
やはり施主は、間取りも大事ですので、この24帖のLDKを確保しながら耐震性能を上げることはできないかという相談になったわけです。
実際に計算すると、耐震等級2の数字になりますので、建築基準法の1.25倍の1.39倍になり、耐震等級3の1.5倍には及びません。
*限界耐力とは、地震 が 発生 した際に、 住宅 などの 建築物 が どこまで 地震力 に耐えられるかという指標のこと。
そこで制振ダンパーを16本入れることにしました。
そうしますと、減衰定数が0.1から0.17に改善されて、地震の揺れ幅を抑えることができます。
*「減衰」とは建物が振動するエネルギーを吸収・消散し、時間の経過とともに揺れを小さくしていく効果のことで、減衰定数は減衰の程度(大きさ)を表す値です。減衰定数が大きいほど、より減衰の影響が強く、小さいほど「減衰の影響も小さい」です。
また、加速度低減率も0.75から0.56に改善されて、地震エネルギーを44%低減することができました。
その場合の、限界耐力計算をすると、1.39から2.09まで数字が良くなって、建物の耐震性能が耐震等級3レベルに上がりました。
これは新築物件の例ですが、例えば戸建リノベーションになりますと、地盤改良をしていないですとか、基礎が古いままで、それでも耐震性能について考えていこうとすると、この制振ダンパーは有効ですので、是非覚えておいてほしいと思います。
筋交と面材の耐震補強
耐震面材の方が方が強いと言われますが、単に面材だからいいということではありません。
例えば壁の中で斜めに入れる筋交いという材料がありますが、これも太い材料を入れていけば非常にいい壁倍率の数字が出ます。
*「筋交い」とは、柱と柱の間に斜めに入れて建物を補強する部材で、暴風や地震などの揺れに対する耐久性を高められます。
また、面材といっても合板の厚さによって耐震等級が変わってきます。
*壁倍率とは、耐力壁の強さを数値化したものです。壁倍率が大きいほど、耐力の大きな壁です。壁倍率1より、壁倍率2の壁が、地震への抵抗力が強いです。
どちらかというと、私は面材の方をおすすめします。
なぜかというと、面材は周囲をしっかりと釘止めすることによって粘り強くなり、何度も起こる地震に対してしっかりと踏ん張ってもらえるからです。
筋交いですとどうしても柱との接点に負荷がかかってしまって、その部分が地震の揺れで外れてしまうということがあります。
そういう意味では面材の方がいいと思います。
また、外壁を塗り壁で仕上げる場合ですと、どうしても外周りに下地が必要になります。
面材ですと、下地と耐力壁を兼用できますので、とても合理的に施工ができます。
また、面材は気密がとりやすくなり、隙間が空きにくいところも利点ではないかと思います。
今の家は、気密が重要視されます。
そういう面では、筋交いよりも面材の方が、断熱材をきれいに入れられて、気密もとりやすくなります。
筋交いがあると、どうしてもそこで断熱材が切れてしまいます。
断熱材を施工する大工さんや業者さんの力量というものがありますので一概には言えませんが、断熱性、気密性をとりやすのは面材になると思います。
表層地盤増幅率が重要
表層地盤増幅率とは
なかなか聞きなれない言葉ですが、どういうことかというと、地震に対する地盤の弱さを示す数字です。
地震の力を割り増しする係数で、数字が大きいほど地盤が弱くて、横揺れが大きくなります。
結論から言いますと、自分の地域の表層地盤増幅率をまず調べて、その上で耐震設計をその係数に合わせて考える必要があるといいうことです。
例えば、地震が発生した際に、●山間地など地盤が固く地震波の増幅の少ない土地に立つ家、●台地など地表まで地盤が丈夫で増幅が少ない土地に立つ家、●平地や盆地など深部の地盤で増幅した地震波が更に表層で増幅される土地に立つ家があるわけです。
地震が起きた距離によって、固い地盤であれば横揺れは少ないということです。
ですが、軟らかい地盤のところでは、地震波の増幅によって横揺れが非常に大きくなります。
これは地盤改良をしても直りません。
なぜかというと、地盤改良は上からの荷重を支えるためのものであって、横揺れに関してはあまり効果がないからです。
ですので、建物の強度を考える際、この表層地盤増幅率を確認しておかないと、地震に対応できなかったりします。
地域によってどれくらいの表層地盤増幅率かというのは、J-SHISのホームページのマップを見て頂くと、自分の地域がどれくらいの数値に当てはまるのか見ることができますので、確認して頂きたいと思います。
耐震設計をする際、例えば表層地盤増幅率1.4のマップ上で黄色い地域ですが、このあたりの数値であれば、耐震等級3の建物は、ちゃんとそれなりの効果が出ます。
ですが、例えばマップ上の赤に近い、オレンジや濃いオレンジのところ、マップ上では新潟県は海に近い平野部に多いですが、このような地域ですと、耐震等級3の建物を建てても、地盤が軟らかい分、実は評価点が低くなります。
建築基準法の1.5倍の、耐震等級3の建物を建てても、表層地盤増幅率が2.0の地域(濃いオレンジや赤の地域)では、建築基準法の耐震評価の1.0にしか値しないということになります。
どんなに頑丈な建物をつくっても、地域によっては、それだけの効果を発揮しないということになります。
ですので、土地を買う際に、まずは表層地盤増幅率がどのような地域なのかを確認して、それに対してどのような耐震補強をするのかを考えなければなりません。
頑丈につくるだけではなく、やはり揺れても元に戻るような制震構造を考えるというのも大事ですので、それぞれの地域に対応した家づくりをして頂きたいと思います。
戸建リノベーションの場合は、耐震というよりも、この表層地盤増幅率に対応できるような制震構造を取り入れる機会が多いです。
家を建てる際は、この表層地盤増幅率を考えながら進めて頂ければと思います。
表層地盤増幅率を考える耐震設計が大事
地域によって地盤が固い所と軟らかい所があります。
写真のように、J-SHISのホームページで確認することができます。
この数字が大きければ大きい地域ほど、地盤が軟らかくて、地震の横揺れが大きくなります。
耐震等級3の建物を建てた場合
例えば、一般的な表層地盤増幅率1.4の黄色の地域で、耐震等級3の建物を建てた場合、地盤を考慮して建物を建てると、総合評価1.46という数字になってきます。
けれども、例えば濃いオレンジの地域で耐震等級3の建物を建てても、建築基準法の最低基準の1.0以下の数字にしかならなかったりします。
実は、地域によってこの建物の耐震性能の総合評価がかなり変わりますので、その地域によって耐震補強のやり方が変わります。
やはり土地選びから、こういうところも考えていかないとダメなのかなと思います。
地盤改良をすればと考えがちですが、地盤改良は上からの荷重を支えて不同沈下を防ぐためのものでしかありません。
地震の横揺れを考慮した設計
やはり、横揺れを考慮した設計ということなりますと、家を頑丈につくればいいというだけではなくて、揺れて元に戻る力というものも必要になります。
今は、制震ダンパーなどが多く出てきていますので、こういうものを入れるというのも大事になると思います。
例えば、表層地盤増幅率が2の地域で、耐震等級3の建物を建てた場合、実際の評価としては1.02にしかなりません。
そこに震度7の揺れを、震度5に軽減してくれる制震ダンパーを12本入れると、約1.4くらいの数字まで上げることができたりします。
今、法律的には耐震の考え方は、家を頑丈につくるという方向性にはなっていますが、実際に地震が起きても壊れない家というのは、家を頑丈につくるだけではなく、揺れて元に戻る家にすることや、地震の力を逃がしてあげる家という考え方が必要です。
地域の表層地盤増幅率を考慮した家づくりを行っていくことが一番大事になると思います。
戸建てリノベーションの時代で変わる耐震補強工事
日本の建築の歴史
元々日本の家というのは、伝統工法、お寺みたいなつくりで石敷きの家が多かったわけです。
1945年に終戦を迎えて、1952年にサンフランシスコ条約を締結する間の、1950年(昭和25年)に、日本の建築基準法がつくられました。
元々日本の建築基準法は、アメリカの法律を日本風にアレンジしてつくられたものです。
1950年(昭和25年)に建築基準法がつくられたとき、実はあまり耐震というものは考えられていませんでした。
なぜかというと、アメリカの法律を基にしてつくられたからです。
それではよろしくないということで、1981年(昭和56年)に新耐震基準というものができました。
ここで耐震のレベルがどんどん上がってきたわけです。
更に、2000年(平成12年)の段階で、2000年基準というものが設けられました。
ですので、期間としては伝統工法、旧耐震基準、新耐震基準、2000年耐震基準の4つに分けられることになります。
それぞれの段階で耐震の考え方が違っていて補強のやり方も違います。
よく役所の方が耐震補強をうたっていますが、その耐震補強というのは、あくまでも1950年の建築基準法以降の在来工法の建物についてです。
実際、それ以前の伝統工法の建物に関しては、実はちゃんとした基準がないといいう状態です。
ですので、築100年の家や築150年の家を直すという場合は、この建築基準法をあてがうのではなくて、伝統工法の基準をしっかりとあてがうということが大事になります。
これは、古民家鑑定士の資格を持っている人が鑑定をする、インスペクションといわれる調査をして、伝統再築士の資格を持っている人がこの補強計画をつくっていくということになります。
伝統工法の古い建物に関しては、建築基準法ではなく、こういう古民家に特化した知識と資格を持っている人に、しっかりと計画を立ててもらうことが大事になります。
建築基準法以前の建物と耐震補強
建築基準法前の家とは
この建築基準法前の家は、伝統工法といわれています。
伝統工法の建物は、揺れるんですが壊れにくいというのが特徴になります。
これを今の建築基準法にあてがって家を固くすると、逆に壊れやすかったりしますので、扱いが非常に難しいものになります。
実際どんな家かというと、基礎は石の上に乗っかっている状態です。
写真にもありますが、石の上に柱がそのまま乗っているということがあります。
地震に対する壁の量がどれくらい必要かは、今の建築基準法では決められていますけれども、建築基準法前の家には、そういう規定がありませんでした。
それに対して、筋交いはこの当時でもありました。
1924年に筋交等の耐震規定というものができています。そのために、筋交いは古い建物でも入っていることがあります。
ただし、接合部が釘留めですので、何度も揺れたりするとこの釘が抜けてしまうことがあります。
また、壁の配置のバランスや接合部についても規定がありませんでした。
石の上に柱が乗っかっているだけで、筋交いがあってもせいぜい釘留めなどという建物が、なぜ今も残っているのかというと、それは制震構造という作り方だったからです。
今の家は、耐震構造という、堅い建物にして強くするというやり方ですけれど、この当時の家は揺れて元に戻る、揺れやすいんだけれども壊れにくいという伝統工法でつくられています。
ですので、せっかくある伝統工法の古い建物を、わざわざ今の法律に合うようにすることによって、逆に壊れやすくなってしまうなんてことがあってはダメなわけです。
やはり、建築基準法前の制震構造の家は、この形に則って戸建リノベーションしていくのが一番良いのではないかと思います。
耐震補強のやり方
結論から言いますと、昭和25年以前の建築基準法前の家は、古民家鑑定士という資格を持っている人に診断してもらうのが一番いいと思います。
そうすることによって、メリットが出てきますので、それについてお話したいと思います。
伝統工法の家は基本的に石敷きの上に柱が立っているという家ですが、未だにそういう家がしっかりと残っているのはなぜかというと、制震構造のつくり方だからです。
揺れて元に戻る力をしっかりと持った建物になっています。
平屋建ての家も二階建ての家も、足固めといって、足元をしっかりと開かないようにしてあげるのが、耐震補強の大事なポイントになります。
足固めをすると、実は基礎工事がいらなくなります。
一般の建築士の設計ではダメなんですが、古民家鑑定士がしっかりと検査をして、伝統再築士が設計をすると、基礎がなくても、例えばフラット35を通すことができたりするわけです。
ですので、古民家鑑定士、伝統再築士を活用していただきたいと思います。
ただ、この当時の建物は、そのままであることがあまりなくて、たいがい増築をしていたりとか、何かしらいじっていたりします。
増築していたりすると、その建物が制震構造寄りなのか、耐震構造寄りなのかがわかりにくくなります。
ですので、古民家鑑定士がしっかりと検査して判断することが大事です。
制震構造寄りのつくり方であると判断されれば、基礎がなくても公の検査を通ることができるという案件もあります。
実際に古民家鑑定士に検査を依頼すると費用が掛かります。
ですけれども、もし制震構造寄りと判定されれば基礎をつくる必要がなくなるわけですから、費用的な面でも大きなメリットになりますね。
もし、石敷きの家に住んでいて戸建リノベーションを考えている方は、古民家鑑定士と伝統再築士を調べて探していただければと思います。
自然派ライフ住宅設計は古民家鑑定士、伝統再築士の資格を有しています。
旧耐震基準の建物と耐震補強
旧耐震基準とは
旧耐震基準というのは、1950年(昭和25年)から1981年(昭和56年)の段階で建てられた建物です。
結論から言いますと、この当時の建物は中途半端な基礎構造の時期なんですね。
そのために、今直すとなると非常に費用が掛かることがあります。
何かしら手を打たないとダメだったりする時期でもあります。
日本で初めての建築基準法
1950年に建築基準法ができて、その当時基礎はただの縦長のものだけでした。これでよかったんです。
壁の量もバランスがよければいいというようなレベルで、1階に12、2階に8などという非常にゆるい制約でした。
筋交についても、この当時からあることはあるんですけど、釘や金物で結束してあればいいという程度のレベルです。平金物などが使われていることが多いでしょうか。
壁の配置のバランスもこの旧耐震基準の時にできた決まりです。
梁方向や桁方向に、釣り合いをよく配置してくださいという程度で、数値化されていませんでした。
土台と柱の接合部は、カスガイというU字型の釘のようなもので留めてあれば大丈夫という時代でした。
ただ、旧耐震基準も何度かの地震を経て、いろいろと改良されていきました。
壁の量についても、少し厳しくなったりしていきました。
更に1970年の段階になると、基礎はコンクリート造で、下の方に横にコンクリートのベースを設けなければいけなくなりました。
この段階で基礎はコンクリート造という規定になりました。
しかし、コンクリート造というだけで、鉄筋が入っていない家というのが結構あったりしましたので、それをきちんと調べるというのが、この旧耐震基準のポイントになってきます。
やはり一番大事なのはこの基礎の部分です。
ですので、今の建物の構造がどのようになっているかをしっかりと検査することが大事なことかなと思います。
耐震補強の方法
昭和25年から昭和56年にかけての旧耐震基準の建物が、実は一番基礎の補強がやっかいになってきます。
国が耐震補強を進めているのは、この時期の建物です。
基礎補強と制振ダンパー
基礎補強と制振ダンパーというものを一緒に考えて、耐震補強を考えていって頂ければと思います。
耐震補強工事は、やはり結構費用がかかります。
そこにプラスして屋根もいじったりして、全面改装しましょうということになると、新築よりも費用がかかる場合があります。
その場合は、建替え新築を検討することも大事なことだと思います。
昭和25年から昭和56年に建てられた在来工法の建物は、中途半端な耐震構造になっています。
平屋建ても2階建ても、耐力壁の下に鉄筋の基礎を増し打ちをすることが多いです。
つまり、今ある基礎に、鉄筋が入っている基礎を沿わせてつくっていくということです。
また、アラミド繊維(硬い人工の高機能繊維)というシートを貼って、鉄筋の代替えにするという補強方法もあります。
同時に、ベタ基礎にすることも結構あります。
やり方はいろいろありますが、それぞれの建物のによって選んでいくといいと思います。
築年数によって、建物の状況が違いますので、個別で考えていかないと、費用を無駄にしてしまうということもあります。
基礎の上の建物部分には、制振ダンパーをつけることによって、建築基準法に相当する耐震構造にすることができますので、この方法も今は非常に多く見受けられます。
様々な方法で耐震性能を補うことが大事です。
この時期の建物を上にあげて、基礎を壊して、新しい基礎につくり直して、その上に建物をおろすという、曳家というやり方もありますが、これも安い工事ではありません。
例えば、重要文化財のような建物であれば、そういうことも考えられますが、一般の家の場合は、やはり費用対効果というものをしっかりと考えていったほうがいいと思います。
新耐震基準の建物と耐震補強
新耐震基準とは
新耐震基準といいますと、昭和56年から平成12年の2000年基準ができるまでの段階です。
新耐震基準の規定
この時代に入ってきますと、基礎には基本的に鉄筋が入っています。
そうすると、戸建リノベーションの際、さほど基礎工事に費用が掛からないということはあります。
ただし、床下の土がそのままむき出しになっていることが多いです。
今は新築をする際、防湿コンクリートというものを打つんですが、当時はそういう施工になっていないことが多いので、床下の湿気対策はしっかりと施工するべきだと思います。
また、地盤改良工事というものはまだ普及していない時代です。
ですので、構造計算で耐震補強評価点1.0以上にどうやって補強していくかというところがポイントになってくると思います。
この前の段階の旧耐震基準では、鉄筋が入っていない基礎が非常に多かったわけですが、昭和56年から平成12年の新耐震基準の在来工法の建物には、基礎に鉄筋が入ってきます。
実は、ここのところがグレーゾーンなんですが、平屋建ての建物の場合は実は入っていないというような家が結構ありますので、ここもチェックしていただきたいと思います。
二階建ての建物は、基礎に鉄筋が入っていないと法律違反になりますので、そこはちゃんとしているはずなんですけれども、一応確認をしておいたほうがいいと思います。
壁の量についても、徐々にいっぱい必要になってきました。多めに壁を入れることで地震にしっかりと対応するというものが、ここで決まってきました。
また、筋交いの取り付けには筋交いプレートというものができまして、これを使わなくてはいけなくなりました。
壁の配置バランスは旧耐震基準と変わらず、梁間方向および桁方向に釣り合いよく配置するということで、まだ数値化されているわけではありませんでした。
戸建リノベーションをする場合は、これらを総合的に直すわけですから問題はないと思います。
また、土台と柱の接合部に、柱が土台から抜けるのを防ぐためのホールダウン金物というものが使われるようになりました。
ただし、四隅に使われる通し柱に使用するということでした。
これらが新耐震基準の時代の家づくりのポイントです。
地盤改良をしていない分、どうやって地震に強い家にするかというところがポイントになりますので、そういうところをしっかりと考えてやっていただければと思います。
新耐震基準の耐震補強
新耐震基準というのは昭和56年から平成12年の、2000年基準ができるまでの期間の在来工法です。
結論から言いますと、地盤改良されているかどうかがチェックポイントになります。
あと耐震補強評価が1.0以上の構造設計になっているかどうかということです。
建物は、平屋建て、2階建て、それと昭和62年(1987年)から建築の許可が出た3階建てに分かれます。
新耐震基準の平屋建て
まず平屋建てですが、この時期は実は法律がちょっと曖昧なところがありまして、地盤改良をしていなくて、なおかつ無筋のコンクリート基礎やブロック基礎でも、まだ許されていました。
ですので、そういう施工で建てられた建物は、やはり基礎補強の対象になってくると思います。
平屋建てで地盤改良をしてある建物は、コンクリート基礎に鉄筋が入っている場合が多いので、基礎の補強はしなくてもよいということになります。もちろん確認や計算をしなくてはいいけませんが。
新耐震基準の2階建て
次に2階建てで、地盤改良をしていない場合の建物の場合、これは新耐震基準の基礎ではありますが、やはり構造体の梁と柱につける制振ダンパーの設置を考えるといいでしょう。揺れたときに基礎に負担がかからないような措置をすることを考えた方がいいと思います。
また、2階建てで地盤改良をしてある場合でも、間取りが変わって柱を抜いたりするのであれば、どうしても壁の量が足りなくなったりしますので、この制振ダンパーを検討するといいでしょう。
新耐震基準の3階建て
3階建ての家をリノベーションしたいという場合は、基礎補強以前の問題として、耐力壁になっている間仕切り壁の撤去がとても難しいです。
3階建ては構造計算で成り立っていますので、壁を抜くことによって構造計算のやり直しをしなければなりません。
その上で、希望の間取りがつくれるのかどうかということになります。ですので、3階建ての場合は、間取りによっては建替えた方がよい場合があります。
このように、それぞれ建物の状況に合わせた耐震補強を進めて頂きたいと思います。
2000年耐震基準の家の構造
耐震基準の年代によって、家づくりがどんどん変わってくるんですが、一番新しい耐震基準がこの2000年耐震基準です。
「新耐震基準」は昭和53年の宮城県沖地震を検証してできたものでした。
しかし、平成7年の阪神・淡路大震災の被害を検証してみると、この新耐震基準でもまだいくつか問題があることがわかってきました。
具体的には耐震壁のバランスとか,地耐力に応じた基礎構造かどうかの検討がされていないことや結合部の構造など、いくつかの課題が指摘されて2000年耐震基準がつくられ、現在まで続いています。
この2000年耐震基準でどのように変わったかをお話しします。
2000年耐震基準の規定
まず基礎については、地耐力に応じた基礎構造にするということが決められました。コンクリート基礎には当然鉄筋を入れるのですが、この鉄筋に関してもいろいろな規制ができました。
また、壁の量については、今までの基準よりも厳しくなりました。
地震にしっかりと耐えるような壁をたくさんつくるということになりました。
筋交も、筋交いプレートをつけることは前の耐震基準から決められていましたが、筋交いのサイズによって、留める金物が指定されるようになりました。
大きく変わったのが、壁の配置のバランスではないでしょうか。
今までは、釣り合いよくという曖昧な表現でしたが、建物を4分割して、左右の間でのバランスに決まりごとができました。
接合部のホールダウン金物は、前の新耐震基準でもありましたが、その時は通し柱につけるとうことでしたが、通し柱以外にも強い壁には強い金物を使用するということになりました。
頑丈につくった壁は引っ張る力つまり反力が大きく生じますから、それに合った強い金物が必要になるということです。
2000年耐震基準によって①地盤調査の規定が充実され ②地耐力に応じた基礎構造とすること ③耐震壁の配置バランスを考慮すること ④筋かい金物使用や柱頭柱脚接合金物使用の規定などが示されました。
耐震補強の助成基準では「新耐震基準」以前の住宅が対象となっていますが、新耐震基準からすでに40年経過していますので、耐震化については新耐震基準以降の建物も含めた見直しが必要になると思います。
2000年耐震基準の耐震補強
結論から言いますと、平成12年以降に建てられた建物に関しては、基礎補強はまず必要ないと思って問題はないと思います。
耐震基準は年々グレードが上がってきて、一番新しいものがこの2000年耐震基準です。
ただ、間取りを変えたりすると壁の量が足りなくなる場合がありますので、耐震補強評価1.0以上の構造設計にする必要があります。
平屋建て、2階建て、3階建てに分けて説明します。
2000年耐震基準の平屋建て
まず平屋建ての場合、基本的に基礎補強は必要ないと思います。
2000年耐震基準で建てられた建物の基礎にはちゃんと鉄筋が入っていますし、地盤改良もされています。
また、防湿コンクリートも敷かれているので、基礎補強は必要ありません。
2000年耐震基準の2階建て
2階建ての場合も基本的にはいらないんですけれども、1階部分の間取りを変えると、2階を支えるだけの力が足りなくなってくる恐れがありますので、間取りの変更によっては、構造体に制震ダンパーを設けて揺れを軽減させることも検討した方がいいと思います。
2000年耐震基準の3階建て
3階建ての建物に関しては、1階部分の間仕切り壁の撤去は難しいと思います。
なぜかというと、2階3階を支えている1階に一番力がかかるわけですから、1階は頑丈にする必要があります。
当然構造計算をしてということですが、なかなかうまくいかないんじゃないかと思います。
どうしても1階をオープンな間取りにしたいという場合は、建替えも考えた方がいいでしょう。
やはり完成後の住まいの満足度を考えて、良い家づくりをしていただきたいと思うからです。
戸建てフルリノベーションの基礎補強
布基礎増し打ち
施工の手順としては、既存の土台・柱を撤去します。その際、建物が倒壊しないように補強梁を設置して建物を守ります。
その後に、耐力壁直下つまり力がかかる壁の下に、ちゃんと基礎を設けるということが法律で決まっています。
写真の建物は、外周りの基礎には鉄筋が入っていましたが、中は、全部独立基礎になっていました。
どうしても耐力壁の下に基礎が足りませんでしたので、布基礎の増し打ちをさせてもらいました。
外周りの基礎に鉄筋が入っていないことは結構あります。
そういう場合は、既存の外周りの基礎に立ち上げ基礎を打設します。
元々ある基礎の横に、新しい基礎をつくって、既存の基礎にかかる力を新しい基礎で支えるようにするという工事をします。
新しい基礎には当然鉄筋を入れなければなりませんし、既存の基礎との連結も非常に大事です。
既存の基礎と新しい基礎をアンカーボルトでしっかりと留めて、鉄筋を這わせて基礎を打っていきます。
ここで注意していただきたいのが、既存の基礎にアンカーボルトを揉んだときに割れないようにしなければならないということです。
実はこれが結構やっかいで、割れてしまえば元も子もありませんので、細心の注意が必要です。
割れやすい基礎かどうかを診断して、判断することが大事です。
これらをしっかりと確認して、基礎補強のやり方を決めて頂ければと思います。
しっかりと基礎補強をした後に土台を敷きます。
アラミド繊維補強
アラミド繊維はどういうところに使われているかというと、高速道路の支柱の補強などによく使われています。
それほどしっかりとしたものです。
アラミド繊維を基礎に貼ることによって、鉄筋のかわりになるというものです。
結論から言いますと、コストが高いのでアラミド繊維は最終手段です。
いきなりこの方法を考えると非常に費用がかかりますので、布基礎の増し打ちで済むようであれば、その方がいいと思います。
アラミド繊維貼りの施工手順
どのように施工するかというと、建物の基礎にクラックが入っている場合、まずクラックに樹脂を注入します。
下地にエポキシ樹脂で目止めをして、その上にアラミド繊維を貼っていきます。
更にその上にエポキシ樹脂を上塗りして、サンドイッチにします。
そうすると写真のようにきれいな状態の基礎になります。
施工の簡単さ、質、スピード共に優れていますが、まだまだコストが高いです。
布基礎の増し打ちよりも高いので、現場の状況によってどちらの方法を取った方がよいか考えて頂ければと思います。
布基礎の増し打ちも、既存の基礎にアンカーボルトを揉んで鉄筋を這わせていくんですけれど、このアンカーボルトが打てないくらい弱い基礎だったりすると、このアラミド繊維しかありません。
ですので、どの方法で補強すればいいかをしっかりと判断して採用するといいと思います。
ベタ基礎補強
戸建リノベーションの場合、この際だからベタ基礎にしたいという方がいます。
結論から言いますと、ベタ基礎にしたからといって、強度的に強くなるかというとそれは別問題になるということです。
布基礎とベタ基礎の違い
布基礎は縦長なので、上からの集中的な荷重を受け止めるということが特徴です。
つまり、布基礎の下の方に力が掛かってくるということになります。
布基礎自体の重さが軽いので、地盤にかかる負担が少なくなりますし、構造計算上有利に働くことが結構あります。
もし、地域的に地盤改良が必要な地域であれば、逆にいうとベタ基礎にする意味があまり見当たりません。
新潟では、ほとんどの地域で地盤改良が必要です。
どっちにしても、基礎の下に杭を打つわけですから、点荷重ということになりますので、布基礎で十分ということになります。
それに対してベタ基礎は、建物を面で支えるということになりますので、全体的に荷重を分散してくれるというのが特徴です。
ただし、コンクリートの使用量が多くなりますので費用はそれなりに掛かります。
このベタ基礎の良いところは、シロアリ対策にもなるということがあります。
このシロアリ対策のために、西日本で多く施工されていました。
基礎工事だけでシロアリ対策ができるということでベタ基礎にしているところも多かったりします。
ベタ基礎 補強工事
戸建リノベーションでベタ基礎にする場合、どんな工事をするかというと、元々ある既存の基礎にアンカーボルトを揉んで、ベタ基礎をつくっていきます。
このアンカーボルトですが、大体20㎝ピッチくらいで既存の基礎に穴をあけていきます。
そうすると、既存の基礎が弱かったりすると、横に亀裂が入ってしまってとんでもないことになってしまいます。
ですので、戸建リノベーションでベタ基礎にする場合は、既存の基礎の状態をしっかりと確認することが大事です。
また、湿気対策のためにベタ基礎にしたい場合は、防湿コンクリートでもいいわけですし、そこまでしなくても、土の上に防湿シートを敷いて、きちんとピンで留めて剥がれないようにすれば、湿気対策になります。
ですので、ベタ基礎までお金を掛けるべきかどうか、またそれに対応できるような既存の基礎なのかというところがポイントになります。
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