古民家移築ショールームの耐震性能は、限界耐力計算による耐震等級3相当です。
耐震等級とは
耐震等級とは、住宅品質確保促進法(品確法)に則って制定された、地震に対する建物の強度を示す指標のひとつです。
耐震等級には1~3があります。
耐震等級1
建築基準法に定められた最低限の耐震性能を満たしていることを示しています。
耐震等級2
耐震等級1の1.25倍の強度で、病院や学校などに求められる強度です。
耐震等級3
耐震等級1の1.5倍の強度で、消防署や警察署など、災害時に防災拠点となる建物に求められる強度です。
この、地震に対する強さを計算する方法は「許容応力度計算」と「限界耐力計算」の二つがあります。
許容応力度計算とは
許容応力度計算は、外部からの力によって構造材にかかってくる力が、構造材が耐えられる力を下回るかどうかを確かめるための計算方法です。
どれだけ力が加われば元に戻らないか、元に戻るギリギリのラインはどこかを探るものです。
限界耐力計算とは
限界耐力計算は、外部からの力が加わる際に、どこまで耐えることができるのか、その限界を算出する計算方法です。
「外部からの力」には、地震はもちろん、積雪や暴風も含まれます。
許容応力度計算より「外部からの力」に特化しているという点で違いがあります。
限界耐力計算では、応答スペクトルという考え方を採用しており、構造物が持つ癖のある周期に対し、地震のパワーがどれくらいの揺れを与えるのかを端的に示すものです。
応答スペクトルでは、建物をひとつの振り子として扱い、その揺れをチェックし、小刻みに揺れるのか、ゆっくり揺れるのか、その違いがグラフで分かるようになっています。
限界耐力計算が導入されたのは建築基準法が改正された2000年以降です。
阪神淡路大震災で大規模な被害が生じたことをきっかけに、木造建築に関するルールが大きく変わったのです。
以前から許容応力度計算があり、高層ビルに関しては「時刻歴応答分析」というものが用いられていて、阪神淡路大震災でも注目されましたが、計算がやや複雑だったこともあり、より分かりやすい限界耐力計算方が2000年に登場しました。
科学の進歩により、限界耐力計算が正確な数値を出せるようになり、日本の一般的な構造計算のやり方が一変したとも言えます。
古民家移築ショールームの耐震性
この限界耐力計算により、古民家移築ショールームの耐震性能は、評点1.50で、判定として「倒壊しない」耐震等級3相当ということになります。
なぜ限界耐力計算なのか
限界耐力計算では、いままでより正確な計算を行うことができるようになりました。
より細かく正確性の高い計算を行うため、過剰な強度を求めることなく、コストパフォーマンスが高い耐震性能の高い建物にすることができるのです。
古民家移築ショールームの耐震対策(耐震+制震)
耐震対策①筋交い(45×90㎜)工法-耐震
筋交(すじかい)とは、柱と柱の間に取り付ける補強材で、柱と横架材で囲まれた四角形の対角線上に固定することで、水平方向の力への強度が増し、地震や暴風などの揺れに対する耐久性を高めることができます。
・筋交いの壁倍率
壁倍率とは、筋交いを施工した際にどのくらい壁の強度が増したかを示す数値です、壁倍率が高いほど壁の強度も高いということです。
筋交材の寸法によって壁倍率が変わり、その壁倍率に適した金物で接合します。
古民家移築ショールームの筋交いの寸法は45×90㎜なので、壁倍率2倍ということです。
耐震対策➁モイス耐力壁工法-耐震
筋交いは、圧縮方向に対しては有効に働きますが、引っ張りに対して十分な抵抗力が後は言えません。
これを補うためにモイス耐力壁工法で、外力を分散させ地震などの揺れをしっかりと受け止められるようにします。
この工法での壁倍率は2.7倍です。
①筋交い工法壁倍率(2.0倍)+➁モイス耐力壁工法壁倍率(2.7倍)➡壁倍率4.7倍となります。
➂制震装置-制震
地震対策には、「耐震」「制震」「免振」の3つの方法があります。
古民家移築ショールームでは、その中の「免振」を取り入れています。
地震による建物の揺れをエネルギーとしてとらえ、制震装置でそのエネルギーを吸収し、地震にブレーキをかけるという工法です。
制振装置として「ウィンダンパー」というものを使用しています。
地震などの揺れの発生直後から効果を発揮し、建物の損傷・倒壊を防いでくれるという特徴があります。
分かりやすく言うと、震度7の揺れを、揺れ直後から震度5に減衰してくれるということです。
上記の「限界耐力計算平面図」にあるように、適切な個所に12本設置してあります。
古民家移築ショールームは、この①➁➂の合わせ技で、総合評価「評点1.5以上」倒壊しないという、耐震等級3の「消防署や警察署など、災害時に防災拠点となる建物に求められる強度」を確保しています。