2024年1月1日の能登半島地震による被災者の皆様には謹んでお見舞い申し上げます。
新潟県内の住宅被害は、県のまとめによると、5月23日時点で2万3356棟と報告されています。
全壊106棟、半壊3072棟、一部損壊は2万164棟です。
新潟市内でも1万7365棟の被害が確認されており、全壊97棟、半壊2962棟、一部損壊1万4306棟に上ります。
被害の大小もありますが、液状化現象や地滑現象による住宅の傾きで修正工事をお考えの方々に、修正の工法についてお伝えしたいと思います。
鋼管圧入工法(アンダーピニング工法)
鋼管圧入工法は、地盤の圧密沈下を起こした建物の水平修正復旧を目的とした工事です。
圧密沈下とは、軟弱な粘性土に長期的に鉛直荷重が加わり続けることで、間隙水が絞り出されて、時間の経過とともに土の体積が収縮して地盤が沈下する現象のことを言います。
この工法は、建物荷重を反力に鋼管杭をジャッキにて圧入し、杭を支持層まで確実に打ち込むことで支持力を得て、また支持層の反力を利用して建物をジャッキアップして傾斜修正をする工法です。
施工の手順
鋼管圧入工法(アンダーピニング工法)の特長
●居住したまま施工が可能
●今後も沈下が予測される場合でも適用可能
●大型の工具・資材を使用しない
●騒音、振動、埃が少ない
●壊す箇所が少なく、補修費を節約できる
●再沈下の可能性が極めて低いが、コストが高
耐圧盤工法
耐圧盤工法とは、地盤の圧密沈下により不同沈下を起こした建物の水平修正復旧を目的とした工事です。
この工法は、地盤の圧密沈下が終息していることが前提となり、施工にあたっては事前に沈下測量を数回に分けて行い、沈下が終息したことを確認する必要があります。
施工の手順
耐圧盤工法の特長
●基礎地盤に良好な支持地盤が存在する場合に採用が可能
●比較的根本的解決が可能
●居住したまま施工が可能
●大型の資材・工具を使用せず、騒音、振動、埃が少ない
●壊す箇所が少なく、補修費を節約できる
●再沈下の可能性は低く、コストは高~中
土台上げ工法(ポイントジャッキ工法)
土台上げ工法(ポイントジャッキ工法)とは、地盤の圧密沈下による不同沈下を起こした建物をジャッキアップして、水平に戻す修正工事です。
この工法は地盤の圧密沈下が終息した後の不同沈下復旧工事として採用されます。
施工の手順
土台上げ工法(ポイントジャッキ工法)の特長
●居住したまま施工が可能
●大型の資材・工具を使用しない
●騒音、振動、埃が少ない
●壊す箇所が少なく、補修費を節約できる
●地盤が完全に落ち着いていない場合は根本的解決は見込めない
●沈下量(差)が大きい場合は採用できない
●再沈下の可能性は残り、コストは中
薬液注入工法
薬液注入工法とは、基礎下部に薬液(クラウト材)を注入し、基礎を持ち上げる工法です。
施工の手順
薬液注入工法の特長
●掘削作業が不要なため、短工期・無騒音・無振動が可能
●ベタ基礎であることが施工条件
●地盤が落ち着いていない場合、根本的解決は見込めない
●建物が上がり過ぎたり、地盤や材料が経年によって再沈下する可能性がある
●再沈下の可能性は否めないが、コストは小
概ね、上記4種類の工法になってきます。
被害状況と地盤状況、予算によっても可能な工法が変わってくると思いますが、一日も早い復旧をお祈り申し上げます。