築150年伝統構法+築20年在来工法の混構造の家を引き継ぐ KM様邸

  • 伝統構法部分と増築部分を併せて、約112坪の大きなお宅でした。ほとんど使われていなかった離れを解体することにしました。

  • 解体した離れに、新しく施主様世帯の玄関とカーポートをつくりました。

  • 新し玄関いホールにはニッチとおしゃれな照明器具を。LDKへの入り口は造作の片引き戸(Cタイプ)。

  • 玄関脇に設けた約6帖のシューズクローゼット。靴だけでなく、自転車・ベビーカーや防寒着などをスッキリと収納できます。

  • シューズクローゼットから入ったホールには、帰宅時にすぐに使える手洗いカウンターを設置。

  • 築150年の既存の梁をそのまま表しにした天井高約3mの広い空間のリビング。おしゃれな薪ストーブライフも。玄関ホールとデザインを合わせた印象的な照明器具をセレクト。

  • システムキッチン脇には造作のダイニングテーブル。背面は造作のキッチンカウンターと食器棚で大容量の収納を確保。

  • LDKに隣接した家事室にはカウンターと可動棚を設置して使いやすく。

  • 既存の梁組そのままの隠れ家のような小屋裏収納。

  • 約3帖の洗面脱衣室。1.25坪タイプのゆったりとした浴室。

  • キッチン奥に設けた物干しスペース。春の黄砂やPM2.5、花粉対策、さらに真冬の新潟でも安心。

  • 淡いグリーンのアクセントクロス。カウンター下にはこだわりの間接照明を設置。

  • リノベーション中に起きた能登半島地震で被災した既存の茶の間を修復。剥がれ落ちた漆喰壁の塗り直しと建具の補修を。

  • KM様邸の造作家具

  • KM様邸の造作建具

物件情報

構造種別 木造二階建て
築年数 築150年伝統構法+築30年在来工法の混合住宅
延べ床面積 約112坪のうち約60坪をリノベーション

新潟市西区の、築150年伝統構法と築20年在来工法の混構造の住宅のリノベーションをさせていただきました。

ご相談内容までの経緯

アパートにお住まいだった、新潟市西区のKM様は、お子さんが生まれたことを機に家づくりを考え始めました。

新築を考えて、いくつかの展示場も見てまわりました。

そんなとき、築150年の伝統構法と20年前に在来工法で増築した実家のことが頭をよぎりました。

実家には両親しか住んでおらず、兄姉はいましたがそれぞれ独立しており、後を引き継ぐものがいないということに思い至りました。

築150年と古いのですが、梁が表しになった茶の間を見ても、立派で頑強な材料でつくられていることがうかがえ、いずれ解体してしまうのはもったいないと思うようになりました。

既存茶の間 表しの梁と大きな自在鉤

後にご両親に伺ったところ、150年前にご先祖が、立派な松の梁を福島からわざわざ阿賀野川から信濃川へと運んできて建てたものだということが分かりました。

いろいろと考えた末、実家リノベーションへ方向転換することになり、いくつかの工務店に相談したところ、どこに行っても築100年以上の家のリノベーションは無理だと言われたそうです。

そこで、古民家をリノベーションできる会社をインターネットで探したところ、自然派ライフのHPを見つけて、ご相談を頂くことになりました。

ご要望

まずは100年以上前の、石場建の建物をリノベーションできるかどうかということでした。

それと、耐震性能と断熱性能などを現代の基準まで性能を上げたい、また生活に合わせた間取りと使いやすさを確保したいというご要望でした。

デザイン的にも、古民家風というよりもモダンでスタイリッシュなデザインをご希望でした。

二世帯住宅になるということで、ふたつの家族の兼ね合いもありました。

設計のポイント

立派な構造材をデザインに活かす

仏間と座敷の天井を取り払い、既存の梁を表しにして天井高を上げ、広々とした空間のLDKにしました。

間取りの変更

築150年部分は、大きな和室が6部屋襖で仕切られているという昔ながらの間取りで、今は、ほとんど使われておらず、モノを置くための部屋になっていました。

建坪約120坪という大きな家でしたが、ご両親の生活は、築20年の増築部分でまかなわれていました。

そこで、ほとんど使われていない部分のうち約60坪をリノベーションして、新たにKM様ご家族の生活のために生まれ変わらせることにしました。

既存図面

新規図面

襖で仕切られていた和室4部屋と納戸2ヵ所、小屋裏部分をKM様世帯と居住スペースとして生まれ変わらせました。

性能向上

耐震性能

基礎補強図

基礎を補強し、

制振ダンパーを14本設置して「揺れても元に戻る」という特性を持たせ、耐震パネルを設置して、現代の建築基準法の耐震等級まで引き上げました。

断熱性能

断熱性に関しても高性能の断熱材で断熱性能と気密性能を高め、窓はすべて樹脂枠でペアLowEガラスにして、新築と同等以上の快適な住み心地になるように仕上げました。

KM様のご要望で薪ストーブを設置したので、間違いなく快適な新潟の冬になるでしょう。

プランニングのポイント

●築150年の頑強な構造材の梁をデザインに活かし、天井高を取り広々とした空間にする

●古民家風ではなく、アンティークモダンなデザイン

●断熱性能を高めた上で、なるべく建具を少なくして家中空気が流れるようにする

●制振ダンパーを設置し、揺れても元に戻る、耐震と制震を組み合わせる

●サッシはすべてLow-Eペアガラスの樹脂サッシに交換して結露対策と断熱対策をする

●外壁は漆喰塗りで、美しく、なおかつメンテナンスに手間が掛からないようにする

新しい間取りのポイント

●LDKと廊下を一体にして、LDKを暖めると家全体が暖まるようにする

●エアコン1台を稼働させることで、家全体の温度差をなくし、ヒートショックを予防する

●キッチンは対面型とし、家族のコミュニケーションを図る

●玄関➡シューズクローゼット➡手洗い➡キッチンと、家事動線を使いやすくする

●キッチン⇔洗面・トイレの通路にパントリーを設けて収納を充実させる

●無垢の床材を使用し、暖かさ、涼しさ、足触りを良くする

●制振ダンパーを併用することで、全体的に広々とした空間を確保する

お客様より

子どもが生まれて、家づくりを考え始めて、始めは新築を考えていて、展示場をいくつも周りました。

なかなか決めかねているうちに、実家のことがふとよぎったんです。

今は両親が住んでいるけれど、誰も後を継がなかったらいずれ取り壊すことになって、実家がなくなるんだって思って・・・。

そしたら妻が、立派な梁が見えている古い建物もいいねって言ってくれたんです。

そこから、古民家のリノベーションができる会社探しが始まりました。

なかなか見つからなかったんですが、自然派ライフさんのホームページにたどり着くことができました。

早速、問い合わせをして相談に行きました。

それまで、いくつかの工務店に相談してきましたが、築100年を超える家のリノベーションは難しいので、壊して建て替えたほうがいいと言われてきました。

でも自然派ライフの社長さんは、「大丈夫」と言ってくれて、実家を見に来てくれました。

現状を見てもらったあと、「こんな間取りができる」「耐震や断熱などはこうすれば現代の基準に合うように性能向上させることができる」「こんな風に思い出を残すことができる」と、すぐに笑顔で提案してくれました。

何度か打合せを重ねて、概ね自分たちの要望を取り入れたプランができました。

とは言っても、自分たちは初めての家づくりで素人なので、その段階では細かい部分までは決めかねていました。

でも、自然派ライフさんは、工事の進捗状況に合わせて、コンセントやスイッチ・照明器具の数や位置、収納棚の数や仕様など、その都度現場を確認しながら相談にのってくれて助かりました。

施工中にもかかわらず、細かい変更や要望に応えていただいて、思い通りに仕上り、感謝しています。

担当者より

ご先祖が建て、ご両親が増築した家を大切に引き継ぎ、次の世代へ渡すため、安心して長く暮らすことができる家づくりを目指しました。

断熱性・耐震性ともに、現在の建築基準法をクリア。

施主様に喜んで頂くことができて、担当者として感謝しています。

これからもお付き合い、よろしくお願いします。