みなさんは、まさか!という原因で認知症を引き起こすことがあることをご存じですか?
リフォーム/リノベーションと認知症に何の関係があるのかとお思いですよね。
いくつかある認知症の原因に、「家」が関係しているのです。
認知症とは
統計によると、65歳以上の15%は認知症を発症していると推計されています。
認知症を発症する前段階とされる軽度認知障害の人も、ほぼ同率の割合と推計されており、2025年には高齢者の約5人に1人が認知症になると予測されています。
認知症は、何らかの病気や障害などの様々な原因によって、記憶や判断などを行う脳の機能(認知機能)が低下し、日常生活や仕事に支障をきたすようになった状態のことをいいます。
認知症を引き起こす原因疾患の一つにアルツハイマー病があります。
最近の研究ではアルツハイマー病で亡くなった人の脳を解剖すると表面にアミロイドβというたんぱく質で出来た灰色のシミがびっしりと付着しており、別名脳のゴミと呼ばれ、神経細胞を死滅させ認知症発症の原因になっているのではないかという事まで分かって来ました。
認知症の原因① 歯周病菌
歯周病患者の歯茎から血流を通じて脳に菌が侵入し、慢性的な炎症を引き起こすと推測されます。
歯周病原菌や、歯周病原菌が生み出すアミロイドβは血流に乗って全身をめぐり、脳に到達すると、脳に老人斑というシミを作ります。
老人斑ができた部位の脳神経細胞は破壊されるため、認知機能の低下につながります。
マウス実験では歯周病菌を感染させたマウスの脳内ではアミロイドβが10倍溜っていたというデータがあります。
アルツハイマー型認知症の高齢者は、健康な高齢者に比べて、残っている歯の本数が平均して3分の1しかなかったというデータもあります。
歯周病が噛む力を弱らせるためで、噛むという行為は、記憶をつかさどる海馬という器官を程よく刺激し、記憶機能の維持に役立っています。
歯周病が進行すると、歯がぐらついたり抜けたりして、噛むことが難しくなるため、それに伴って脳の刺激が減少します。
その結果、脳が不活性化するため、記憶機能をはじめとする認知機能が低下しやすくなるのです。
ちなみにアルツハイマー病は、他の認知症と比べても海馬の萎縮が目立つのが特徴です。
つまり歯周病は、「アミロイドβの合成」と「海馬の不活性化」という2つの面から、アルツハイマー病のリスクを高めます。
認知症を予防するためにも、「できるだけ口の中を清潔に保つ」「自分の歯をできるだけ残す」という意識で日々を過ごすことが大切だということです。
認知症の原因➁ 睡眠不足
睡眠と認知症の関係についても色々と分かってきています。
睡眠が6時間以下の人は、アルツハイマー病のリスクが30%上がることがわかっています。
ちなみに一晩徹夜した後の脳では、通常の睡眠後の脳よりもアミロイドβが蓄積しているという報告もあります。
実は、睡眠は脳がアミロイドβを掃除するために必要な時間なのです。
脳の神経系にはグリア細胞というのがあって、神経細胞の約50倍の数が存在し、このグリア細胞は脳の老廃物を食べてくれるのですが、その中にはアミロイドβも含まれます。
グリア細胞は深い睡眠時にもっとも活発に働き、その効率は日中起きている時間の10倍から20倍です。
つまりアミロイドβは、「私たちが起きている間に蓄積し、深い睡眠を取ることで除去される」というサイクルを繰り返しているんです。
実は9時間以上でも認知症リスクは上がるといわれているので、適切な睡眠時間は1日7〜8時間ということになります。
認知症の原因➂ 家のカビの弊害
カビの正体を知っていますか?
浴室で発生する黒カビや食べ物に生える青カビなど、私たちは目に見える状態になってはじめてカビの存在に気づくのですが、見えていなくても空気中にカビの胞子が漂っているのです。
カビは湿度と栄養があればどこにでも増殖し、空気中から私たちの体に入ってきて、気管支喘息のようなアレルギー症状が出ることがありますが、それよりも厄介なのは、吸い込んだカビが体の中で増殖してしまうことです。
肺で増殖するカビはアスベルギルス・クリプトコッカスなどがあり、それぞれ厄介な症状を引き起こしますが、実は、脳でもカビが増えることがあるんです。
クリプトコッカスは、エサとして肺よりもむしろ脳を好みます。
免疫力が低下している状態だと、吸い込んだカビが脳で増殖してしまうということが起こり得ます。
カビの胞子は目に見えないほど微小なので、鼻の穴から入り込み、鼻毛の間をすり抜けて脳にまで入り込む可能性が非常に高いです。
カビはマイコトキシンという毒素を出し、体内では分解されずに残り、全身を巡って脳にも到達してアルツハイマー病の原因となります。
このとき脳はアミロイドβを出すことが分かっています。
日常的にカビを体内に取り込んでいる可能性がある人は、アミロイドβが作られ続けてしまうので、温度と湿度を調節できるような生活環境に見直す方がいいのです。
とにかく、家の中にカビを発生させないことが大切です。
断熱リフォームでカビの原因となる「結露」を解消!
断熱リフォームを行うことで、お風呂場だけでなく住宅全体で結露の発生を抑えることができます。
結露は、湿度がある程度高い状態で、気温が急激に下がり空気が冷えることで発生します。日常生活でも、寒い日に窓に結露がついていることを目にする機会も多いと思います。発生した結露を放っておくと、カビの原因につながってしまいます。
結露は屋内と屋外の気温差で起きるので、断熱リフォームを行って断熱性能を高めることで、結露の発生を抑えることが可能です。
このように、リフォームを行うことで日々の生活を快適にするだけでなく、認知症予防にも繋げていくことが期待できます。