新潟でリフォーム/リノベーション 古民家移築ショールームのディテール 断熱のこと

古民家移築ショールームは、HEAT20の「G2」の断熱性能です。

ショールームがオープンした2023年1月~3月は、近年でも珍しい積雪と低温でしたが、約55坪のショールームでも1階に設置した20帖用の家庭用暖房エアコン(63型)1台で暖かく過ごすことができました。

また、全国1位の高温を記録した今夏も、2階に設置した10帖用の家庭用エアコン(28型)1台で涼しく快適に過ごすことができました。

 

HEAT20

近年、新しい断熱性に関する評価基準「HEAT20(ヒート20)」が注目されています。

HEAT20は団体の呼称であり、団体が定めた断熱性の基準値のグレードを「G1」「G2」「G3」で分けています。

HEAT20とは、地球温暖化とエネルギー、居住者の健康と快適な住まいを考慮し、2009年に研究者や住宅・建材に関わる有志によって発足した団体「2020年を見据えた住宅の高断熱化技術開発委員会」の略称です。

英語表記の「Investigation committee of Hyper Enhanced insulation and Advanced Technique for 2020 houses」から「HEAT20」と呼ばれており、国土交通省が定める「省エネ基準」(室内温熱環境や住宅の省エネルギー基準)とは異なる観点から「G1~G3」という「外皮性能グレード」という独自の判断基準を基にしています。

各地域において、冬期間の体感温度を10℃~15℃以上に保ち、暖房機器によって利用されるエネルギー量を削減する、優れた省エネ住宅を目指す推奨基準です。

HEAT20が目指すポイント

HEAT20が設立された目的は、「環境負荷の低減」「高品質で安心安全」な住宅を普及させるために、居住空間の温熱環境やエネルギー性能を図る技術開発を進めることです。

そのポイントは以下の3つです。

建築的要素(断熱・遮熱・通風・日差し)を、断熱材・外壁・屋根・サッシによって断熱性を高める

設備的要素(空調機などの低燃費性能等)を、空調機器・エコキュート・給湯器によって省エネ性を高める

創エネ的要素(太陽光発電等)を、太陽光発電・蓄電池によって創エネ性を高める

この3つの要素を住宅に取り入れ、快適で住みやすく、地球にも優しい住宅を普及させること目指し、団体の方針では、自動車やエアコン、窓のサッシ性能の表示をラベルにしてわかりやすく表示することを目指しています。

HEAT20の地域区分

新潟市は5地域に分類されます。

日本列島は南北に長い形状をしており、最北の北海道と最南の沖縄の気温は大きく違い、そのため室内の温度を10℃~15℃に保つために求められる断熱性のは大きく異なります。

ちなみに、8地域である沖縄県は冬期間もそれほど寒くならないため、HEAT20では特に基準は設けられていません。

新潟市(5地域)で求められる室内温熱環境

G1の場合

冬期間の最低体感温度・・・概ね10℃を下回らない

体感温度が15℃未満となる割合・・・20%程度

暖房負荷削減率・・・約30%削減

G2の場合

冬期間の最低体感温度・・・概ね13℃を下回らない

体感温度が15℃未満となる割合・・・15%程度

暖房負荷削減率・・・約50%削減

G3の場合

冬期間の最低体感温度・・・概ね15℃を下回らない

体感温度が15℃未満となる割合・・・3%程度

暖房負荷削減率・・・約75%削減

Ua値

断熱性能を表す数値として「Ua値」という基準があり、数値が低いほど断熱性能が高いということです。

この表を見てもわかる通り、HEAT20で求められている断熱性能は高く、新潟市(5地域)で「G2」ということは、断熱等級6に相当すること意味します。

当然「G3」の方が性能は高いということになりますが、性能を上げるために掛かる費用とのバランスもあるため、断熱性能や蓄熱性能のある無垢材の内装材を使用することで、快適に過ごすということもご提案しています。

古民家移築ショールームの断熱等性能等級判定表

HEAT20対応住宅のメリット

快適性

断熱性能が低いと、冬は外気に接している壁や床、窓などから外気温が伝わり、室内温度を徐々に下げて寒く感じます。

真冬の寒い時期に、窓や壁付近にいると寒く感じたことがあるのではないでしょうか?

この現象は「コールド・ドラフト」と呼ばれるもので、壁や窓で冷やされた空気が部屋の低い部分に向かって対流し、せっかく暖房設備で温めた室内を徐々に冷やしてしまいます。

断熱性能の高い住宅ではこのような現象が起こりにくく、室内を快適な温度に保ちやすくなり、暖房設備のない廊下やトイレなども室温の低下を防ぐことができるため、家のどの部屋にいても快適に過ごすことができ、急激な室温変化による心疾患・脳疾患の悪化を防ぐこともできます。

健康

前述の心疾患や脳疾患に与える影響を軽減できる他、結露・カビによる疾患を防ぐこともできます。

断熱性の低い住宅は、暖房をしていない部屋の表面温度が下がり、結露やカビが発生します。

サッシ廻りなどの目に見える箇所だけでなく、この結露は壁の中でもこの現象が起こり、柱や梁を腐食させる原因になるだけでなく、カビやダニを発生させ、喘息や咳、アトピー性皮膚炎などの原因にもなります。

断熱性の高い住宅は表面温度を高い状態に保つことができるため、結露やカビ、ダニを防止することが可能です。

経済性

断熱性能が高い住宅は省エネ効果があり、光熱費を大幅に節約でき、光熱費が高い夏場や冬場の節約効果が期待できます。

間取りや使用するエアコンのグレードにもよりますが、年間で数万円の冷暖房費の節約が可能になります。

光熱費が高騰している昨今、新築やリノベーションの際に、この断熱性能に費用をかけることは理にかなっているということができます。

古民家移築ショールームの断熱

断熱材

壁断熱(クララフォームNR04S)

一般的な住宅用よりグレードの高い現場発泡硬質ウレタンフォームを90㎜厚で吹付施工しています。

熱伝導率0.026(W/m・K)以下という、現在住宅で使用されている現場発泡硬質ウレタンでは最もグレードが高い材料です。

床断熱(ミラフォームλ)75㎜厚

押出法ポリスチレンフォーム「ミラフォームλ」75㎜厚を大引きの間に充填しています。

熱伝導率(0.022W/m・K)という高性能な断熱材です。

ノンフロン・ノンホルムアルデヒド・4VOC(揮発性有機化合物)基準にも適合しています。

また、付加断熱として外壁下地としてEPS(ビーズ法ポリスチレンフォーム)25㎜厚も併せて使用しています。

天井断熱(セルロースファイバー)

天井には、売れ残った新聞古紙を主原料としたリサイクル断熱材「スーパージェットファイバー」を使用しています。

熱伝導率は0.040W/m・Kですので、断熱性能としては性能が抜きん出ているとはいえませんが、セルロースファイバー断熱材には、断熱性能以外にも優れた性能があります。

①吸放湿性(結露防止)

古紙を主原料としているので、「木材」と同じように、周りの湿度環境に応じて吸放湿してくれます。

➁吸音性

木質繊維の、軟らかく軽い素材は、優れた吸音性を持ち、室内のプライベートな音の漏れや、屋外の騒音などの防音対策に効果的です。

実験箱の中に100db(デシベル)の防犯ブザーを入れた実験

➂難燃性

難燃処理により、炎をあてても表面から炭化していくだけで、古紙を主原料としているため、万が一の火災が発生した際も有害なガスを発生させることはありません。

④防カビ性

ホウ素系薬品により特殊な処理を施していますので、アトピーやアレルギーの原因となるカビの発生・生育を防止する効果があります。

開口部の断熱性能

サッシの性能

古民家移築ショールームでは断熱性能を重視し、YKKapのAPW330とAPW430を使用しています。

APW330・・・樹脂枠・ペアガラス(アルゴンガス入)・LowEガラス・樹脂スペーサー

APW430・・・樹脂枠・トリプルガラス(アルゴンガス入)・LowEガラス・樹脂スペーサー

住宅の中で、熱の出入りが一番大きいのは窓やドアなどの開口部です。

YKKAP HPより

サッシなどは、枠の材料・ガラス・スペーサーの材料などによって大きく性能が変わってきます。

玄関扉の性能

YKKAPの断熱スライディングドア「コンコード」を使用しています。

玄関からの熱の流入出も大きな割合を占めていますので、断熱性を高めるために性能の良い玄関引戸を使用しています。

開口部の性能を上げることで、断熱性能が上がり快適性が改善されます。

24時間換気システムのこと

2003年にシックハウス法が施行されてから、新築では24時間換気が義務付けられました。

・第一種換気システム・・・給気も排気も機械でコントロールする

・第二種換気システム・・・外気を機械で給気して、排気は自然排気する

・第三種換気システム・・・給気は自然給気で、排気は機械(ファン)で行う

古民家移築ショールームでは、第一種換気システムを採用しており、換気扇は日本スティーベルのダクトレス全熱交換換気システム「VLR-70」を採用しています。

熱交換換気

換気の際、屋外に排出する汚れた空気(排気)から熱を回収し、新鮮な外気を室内に取り入れる(給気)時に、その熱を再利用する換気方法のことで、この仕組みにより、外気温は室温に近づいてから室内に給気されます。

●例えば熱交換率が90%の場合
冬/外気温が0℃で室温が20℃だった場合:外気は0℃のままではなく、18℃程度まで温まってから室内に給気されます。

夏/外気温が30℃で室温が20℃だった場合:外気は30℃のままではなく、21℃程度まで下がってから室内に給気されます。

日本スティーベル HPより

このシステムにより、室温はほぼ一定に保つことができるのです。

また、この換気システムのフィルターは、細菌・ウイルス・アレルゲン・臭い(細菌由来)などのたんぱく質を吸着分解することができます。

花粉・PM2.5対策にも効果的です。

*忘れがちですが、室内から取り出しができる壁貫通型のポストや宅配ボックスも、断熱性・気密性に配慮した商品を使うことも、玄関周りの隙間風を防ぐ対策になります。