古民家移築ショールームの屋根材は、焼瓦を使用しています。
焼瓦について
焼瓦は製法(焼き方)によって、分類されます。
燻し瓦
釉薬を用いずに焼成の最後の段階で燻化(蒸し焼き)して、炭素の被膜をつくる瓦。
無釉
釉薬を用いずに素焼きのまま仕上げた瓦で、粘土の段階で金属酸化物を混合したり、焼ムラを利用した窯変瓦です。
釉薬瓦
生地形成・乾燥後、ガラス質の釉薬を施して約製法で、陶器瓦ともいいます。
釉薬の替わりに焼成の最終段階で食塩を投入して焼く「塩焼瓦」や「安田瓦」のように、生釉を用いて酸化焼成から還元焼成まで時間をかけて焼成する「還元瓦」も釉薬瓦の一種です。
日本では、有名な瓦の産地があります。
三州瓦(愛知県)・石州瓦(島根県)・淡路瓦(兵庫県)が有名ですが、古民家移築ショールームでは、積雪寒冷地である新潟の風土に合う瓦で、地元阿賀野市で生産されていて光沢のある銀鼠色で親しまれている「安田瓦」を使用しています。
安田瓦の特徴
耐水性
瓦は、それが使われる地方の気候風土に合わせてつくるのが良しとされています。
積雪や長い凍結期間のある北国では、なおさら降雪・積雪・凍結などの害を考慮して、堅牢で耐久性の高い瓦が求められます。
安田瓦は、1200℃以上の高温で時間をかけて焼成しますので、堅牢性に優れ、水の侵入を防ぎます。
給水実験でも安田瓦の吸水率はJIS規格を上回る3~6%以下で、高い耐水性を備えているので水分を寄せつけません。
断熱性
現代の家づくりは断熱性能が重視されています。
この断熱性能を判断する指標のひとつが熱還流率で、瓦屋根はセメント瓦やスレート瓦・トタン屋根に比べて優れていることが実証されています。
冬は住宅内の熱を逃がさず、夏は直射日光を反射して熱を吸収しません。
耐寒性
積雪と零下の気温が続く北国では、耐寒性能に優れた瓦でないと長い年月耐えられません。
安田瓦は、吸水された状態でマイナス20℃の冷凍倉庫に8時間以上入れ、次に15~20℃の水に6時間以上入れるという凍結融解実験を繰り返しても、異常が見られませんでした。
遮音性
通常、屋根に必要な遮音性能は、一般の住宅地域で28デシベル以上とされています。
瓦屋根はこの基準をクリアしており、他の屋根材との比較においても遮音性能の良さを発揮します。
耐圧性
積雪の心配がある北国では、耐圧性能も重要なポイントです。
JIS規格の実験によると、釉薬瓦で120㎏以上ですが、安田瓦は250~300㎏以上の荷重に耐えられることが実証されています。
積雪を強く意識してつくる安田瓦は、新潟県のような雪国に向いていると言えます。
●防火性
他の場所から火の粉が飛んできて思わぬ家事になることがあります。
1200℃の高温で、時間をかけて焼成された安田瓦は、焼き締められて強くなっているので、火の粉が飛んできても燃え移ることはありません。
耐久性
瓦の寿命は他の屋根に比べて長く、一般的には50~100年はもつと言われています。
神社仏閣や伝統ある屋敷には、数百年も保ち続けている瓦もあるように、耐久性には定評があります。
通気性
瓦にはいろいろな形のものがあり、その組み合わせや施工方法により適度な通気をすることが可能です。
室内空気の換気や結露防止の面でも優れた屋根材と言えます。
経済性
堅牢で耐久性があるということは、維持管理が楽で長く使えるということで、結局は経済的だということになります。
また、断熱性に優れていることも住宅全体に対して良い影響を与え、他の屋根材に比べて家の傷みを抑える効果があります。
近頃は、軽くしたいということで、鋼板の屋根にする方も多いのですが、荷重に見合った構造躯体の強さにすることで、耐震性能をクリアすることができます。
長い目で見たメンテナンス性を見越した材料を使用することも大切ですね。