古民家移築ショールームは外壁の腰羽目板として焼杉を使用しています。
無垢板を塗装するのではなく、無垢の杉板を焼いて仕上げる焼杉を使っている理由をお話しします。
焼杉(焼き杉板)とは
焼杉(焼き杉板)は、杉板を焼いて表面を炭化させた商品です。表面の炭化層が、板の劣化を遅らせます。愛媛県や瀬戸内海の島々では古くから焼杉が家の外壁に使われてきました。
焼杉 とは、耐久性を増すために、杉板の表面を焼き焦がし炭素層を人為的に形成したもので、焼板とも言います。
滋賀県より西の地域で使用される伝統技法で、外壁の下見板や土中に埋まる土留め板などに用いられる。東日本には伝わっておらず、関東地方で同様の仕上げをする場合には墨を塗る手法が用いられる。真っ黒な仕上げは世界的にも珍しいが、その起源や西日本にしか伝わっていない理由についてはあきらかになっていない。
昔からある素焼の焼杉だけではなく、表面の炭を軽く落としたもの、焼杉に塗装をしたものなど、様々な焼杉があります。
焼杉の特徴
防虫・防腐効果があり耐久性が高い。
焼杉の表面の炭化層は虫にも強く、シロアリや一般的な虫に対する防虫効果もあります。
加えて、腐りにくくなるので、耐久性も高くなります。
木材特有の調湿効果がある
雨が降り湿度が高くなると、焼杉板が湿気を吸収することで結露を減らし、また幅が伸びることで気密性が良くなります。
逆に、湿度が低くなると、焼杉板が乾燥して収縮し、通気が良くなります。
重量が軽い
躯体に架かる負荷が少ないサイディングに比べ重量が軽いため、構造躯体に架かる負荷が少なくなります。
断熱効果がある
焼杉板は、自身の細胞内に空気の層を形成しているので、熱伝導率が低く断熱効果が高いのです。
窯業系やガルバリウム鋼板などのサイディングに比べ、夏場に触れても熱くなりにくく、断熱効果があります。
防火性がある
「杉は火に弱い」と思われる方もありますが、実は木材は焼き始めてからじわじわ炭化して、表面に炭化層をつくります。
この炭化層があると、その奥まで焼け広がりにくいのです。
昔のお城やお寺、お屋敷など重要な建物の外壁が漆喰などの塗り壁をが多く使われていたのも、この防火・防災性があったからでしょう。
ただし、現在の建築基準法では、22条指定区域などで使用することはできません。
防虫効果や腐りにくくするために焼いていた
焼杉の炭化層は、シロアリや一般的な虫に対する防虫効果や、腐りにくいという効果があります。
印象的な風合い
真っ黒で、自然素材の外壁は、印象的な風合いがあります。
近くによると表面がゴツゴツした素材感があって、他の素材では出すことのできない印象的な風合いがあります。
環境に優しい、森に還元できる素材
二酸化炭素を吸収して育つ木は、炭素を蓄積し固定化しており、地球温暖化防止に大きな役割を果たしています。
耐久性がある
焼杉は表面が炭化層なので、耐久性があります。
サイディングの場合、メンテナンスとして約10年に一回は外部塗装する必要があり、継ぎ目のコーキングも5~10年毎に「打ち替え」か「うち増し」が必要です。
焼杉は、表面の炭化層が落ち切るまでは、見た目は変わりません。
所々炭化層が落ちて、素材そのものの木の色が出てきた場合も、その部分だけ外部木部用塗料を塗ってメンテナンスすることが可能です。
仮に、一部割れたり、虫がついてしまった場合でも、その部分だけ交換することができるのもメンテナンスのメリットと言えます。
価格もそこまで高くない
焼杉は想像するよりも、価格もそこまで高くありません。
もちろん、特殊な外壁材になりますから、一般的なサイディングと比較すると、高価ですが、ガルバリウム鋼板よりは少し高いくらいです。
焼杉の難点
焼杉は本物の杉の木の板を焼いたもので、完全な自然素材なので、反ったり割れたり、ムラがあったりします。
それら自然素材の風合いを楽しむことが苦手な人にはお勧めできません。
自然の風合いや個性的な外観がお好きな方にはお勧めしたい外装材です。