「ウッドショック」で家が建てられない!

今日は「ウッドショック」で家が建たなくなるかもしれないというお話です。

「ウッドショック」って耳にしたことありますか?

初めて聞くという方も多いと思います。

業界では数か月前から実際に影響が出始めていました。

どういうことかというと、木材の価格が急騰するだけでなく、そもそも材料が入ってこなくなるという話です。

今年の初めくらいから業界では噂がではじめて、3月ぐらいから業界紙をにぎわし始めました。

特に、アメリカからの材料が高騰しているという情報をいろいろなところで耳にするようになりました。

付き合いのあるプレカットメーカーや建材店でも、発注した材料が手に入りにくいという状況になりました。

実際に材木屋さんから話を聞いてみました

現在、海外からの材料がほとんど入ってこないという、木材業界の緊急事態が起こっているそうです。

なんとか材料を確保したいと思っても、高騰していて従来の1.8~2倍の価格になっているとのことです。

プレカットメーカーも、1~2か月先の材料はあっても、その先の見通しの予想がつかないので、新しい受注を受けることができない状況だと言います。

土台・柱・梁などの構造材だけでなく、屋根の垂木や壁を組み立てる胴縁や野縁などの羽柄材も、既に価格が上昇していて手に入りにくくなっています。

現在設計中のお客様はいつ着工できるか分からないし、工事中のお客様はお引渡しの時期が遅れてくるという可能性があります。

なぜこの「ウッドショック」が起こってしまっているのかをお伝えしたいと思います。

原因アメリカの住宅ブーム

今アメリカではかつてない低金利で住宅ローンを組むことができるため、空前の住宅ブームが起こっています。

日本は、ほとんどの人が一度家を建てたら一生そこに住むということが普通です。

しかし、アメリカではライフステージによって住み替えていくという習慣があります。

例えば、夫婦二人の時はそれほど広くも高くもない家を購入して住み始めるとします。

その後、子供が生まれたり、自分たちの収入が上がってくると、子供部屋を確保できるような郊外の少し大きな家に住み替えることになります。

そして、子育てが終わると大きな家がいらなくなるので、老夫婦にちょうどいい家に住み替えるわけです。

その売却益やリバースモゲージの仕組みを利用した資金を得て老後を豊かに暮らすというのが普通です。

その上、新型コロナウィルス感染症の流行でリモートワークが推奨され、通勤に便利な都会に住んでいる必要がなくなり、若いうちに郊外に家を手に入れる人が増えてきました。

または、今の家をそのままにしてセカンドハウスで暮らすという人も増えていて、住宅ローンの低金利政策も併せて、住宅や別荘の建築が急激に増えてきました。

 

原因❷アメリカの森林火災

数年前から異常気象によりアメリカ西部では複数の大規模な森林火災が発生しています。

カリフォルニア州北部では2015年相次いで森林火災が発生して約5万~8万ヘクタールの山林が焼失したり、2020年にもアメリカ西海岸全体が大規模森林火災に見舞われました。

日本の住宅の構造材、特に梁などの横架材(横に渡す材料)はたわみに強い米マツが使われているので、アメリカから米松が入ってこないとなると大きな影響が出てきます。

アメリカ国内で木材の需要が急増したことと、山林が焼失して供給量が減ったことで、海外に輸出する余裕がなくなったというのが現状です。

 

原因❸コンテナ不足

木材が入ってこないもう一つの理由は海上コンテナの不足です。

新型コロナウィルス感染症の影響で、2020年は世界中の輸送船が止まってしまいました。

船舶会社も便やコンテナの数を減らしてなんとか維持してきました。

それと共に、そこで働く人の数も一気に減りました。

ここにきて、ワクチン接種が進み、経済活動が動き始めて、流通も動き始めました。

しかし、コンテナとそこで働く人の数が急には回復せずに混乱が起きています。

早い段階で新型コロナウィルス感染症を封じ込めた中国の需要も増えて、アメリカと中国でコンテナの取り合いになっているという情報もあります。

ヨーロッパやロシアからの材料も、このコンテナ不足の影響でなかなか入ってきにくい状態です。

 

原因❹日本の商社

今までは、多少の値上がりであれば日本の商社がまとめて木材を輸入していました。

ところが、輸入価格の高騰とコロナ禍の不景気による日本の内需のバランスにより商社が買い控えたのです。

価格の面で中国などに競り負けたということでしょうか。

 

原因❺日本の林業の衰退

輸入できないなら国産材を使えばいいと思いますよね。

もともと日本では日本の木で家を建てていました。

しかし、価格の安い外国産が入ってくるにつれ、急激に日本の林業が衰退していったのです。

植樹して、山林の手入れをして、伐採して、搬出して、製材してという手間をかけたものが売れなくなって林業に従事する人が減ってしまいました。

手入れをしていない木は、曲がっていたり節だらけだったりして、建築材料としては使えません。

建築材料として使うには、原木を製材する製材所も、木材の変形収縮を防ぐための乾燥機も必要ですが、林業の衰退に伴いこれらの数も減っています。

もう一度林業を活性化させるには数年、数十年単位の時間が必要なのです。

急に国産材に頼ろうとしても、限度があるというわけです。

 

かつて東日本大震災の時、東北に集中していた合板工場が被災して、日本中で合板不足という事態が発生したことがありました。

しかし、当事者の方々の努力により約半年後にはほぼ通常の流通に戻りました。

 

しかし、今回は世界中を巻き込んだ事態となっていますのでより深刻といえ、先が読みにくい事態になっています。

 

では、今住み心地のよい住まいを手に入れることは不可能なのでしょうか。

そうとはばかりはいえません。

“リノベーショ”という手があります。

リノベーションは、元々ある家の構造材で傷んでいない部分はそのまま使うことができます。

したがって、木材を使う量は新築の3分の1で済むのです。

それでも、耐震補強や断熱性能を上げた暮らしやすい住まいを手に入れることができます。

新築にしようかリノベーションにしようかとお悩みの方は、是非自然派ライフ住宅設計にご相談ください。

最適な方法をご提案させて頂きます!