古民家移築ショールームの床材はすべてスギやマツの無垢材を使用しています。
無垢材って何?
無垢材とは1本の丸太から切り出して作った木材のことで、混ざり気のないという意味がある「無垢」という言葉に由来しています。
特に、スギやマツ、ヒノキなど針葉樹の無垢材は、空気を多く含んでいるため、保温性や断熱性が高い特徴があります。
あくまで、材料の製法のことを指していており「無垢材」という木の種類ではありません。
一方、「無垢材」と比較される「集成材」とは、薄くした木板を接着剤で張り合わせてブロック状にした木材です。
接着剤で貼り合わせているので、木の呼吸が妨げられ、無垢材の特長である調湿性や保温性、断熱性はほとんどありません。
床材として使用される場合、「複合(合板)フローリング」と呼ばれ、無垢フローリングより安価なのが特徴ですが、傷や汚れに強い半面、無垢フローリングに比べると若干踏み心地が硬く、冬は踏み心地が冷たく感じます。
無垢材の特長
室内の温度と湿度を調整してくれる
天然木は熱伝導率が低く、熱さや寒さなどの急激な変化から守ってくれるという特性があり、断熱性能はコンクリートの約2倍といわれています。
湿気の多い季節は余分な湿気を吸収し、乾燥しがちな季節は排出する調湿作用があるので、夏は素足で歩いてもべたつかず、冬は暖かく静電気を抑えるのが魅力です。
そのため、カビを繁殖させたり、ダニや最近の原因となっている結露を防ぐことができます。
また、床材としては適度な弾力(弾性または塑性)があり、衝撃を吸収するため、踏み心地に優れ、膝を傷めにくく、身体への負担を軽減してくれます。
木材の弾性により、衝撃エネルギーは消費され、跳ね返ってくる力が衝撃より弱くなります。
つまり、木材は衝撃力を緩和する効果があるといえます。
天然木の風合いと美しい木目
素材ごとに色や模様の異なる木目も無垢材ならではの魅力で、家の中にいながら、大自然のような落ち着きを感じさせてくれます。
また、木に光があたった後反射してくる光からは、人に有害な波長の短い紫外線がかなり取り除かれているので、目に与える刺激が少なく、心地よく優しく感じます。
「1/fゆらぎ」という言葉をご存じでしょうか。
1/fゆらぎとは、自然界に存在する予測できない変化や動きのことをいいます。
1/fゆらぎは、炎の動きや川のせせらぎの音、心音などにあります。
生き物は規則的な運動が出来ないと言われており、同じように見えてもわずかなズレがあり、このリズムが人に心地よいと感じさせてくれるのです。
木材の木目には規則性がなく個性があり、ここにも1/fゆらぎが存在しています。
木質空間にいるとなぜか落ち着くのは、1/fゆらぎの効果がある木目が目に優しく、リラックスさせてくれるからと言えるでしょう。
さらに、木材の表面には微妙な凹凸があり、それによって光が散乱されるので、樹種によって独特の光沢を見せること も、木は味わい深く、心がやすらぐといわれる要因でしょう。
リラックス効果
無垢材の精油分であるフィトンチッドは、気分を安らげる効果があるとされ、アロマテラピーでも使用されている成分です。
森林浴がすがすがしく感じるのは、フィトンチッドの効果によるものと言われており、作用のしくみはまだ不明ですが、木材の匂いの成分が、ストレスを軽減し、免疫細胞の働きを向上させると考えられています。
自然な木の香りも楽しめるだけでなく、さまざまなニオイをやわらげてくれる消臭作用もあります。
特に、スギやヒノキなどの針葉樹はフィトンチッドの発散量が多く、ヒノキ風呂やヒノキまな板として多く利用されるのはそのためです。
無垢材の注意点
膨張・収縮
無垢材は空気中の湿度の影響によって膨張したり収縮する性質があります。
床材としても人気の無垢フローリング材などでも施工後に隙間が開くなどの現象が出るのはこのためです。
無垢材は湿度が高いと空気中の湿気を吸収して膨張し、湿度が低いと水分を放出し収縮する特徴があります。
木に含まれる水分率(含水率)が変化すると、さまざまな影響が出てきます。
伐採した木を乾燥しないでそのまま使うと、木が曲がったり割れたりする問題が起きてしまいます。
そうならないようにするには、必ず乾燥させて水分を減らす作業が必要で、十分に乾燥させた木材は強度が増し、反りや収縮などの現象が起こらなくなるため、とても使いやすい木材へと変化します。
木材を大気中に放置すると、含水率は11~17%まで下がり、安定している状態(平衡含水率といいます)になりますが、近年の冷暖房を使用する室内の内装材は、予め含水率を10%以下に乾燥させて、建ててからの収縮や曲がりを防ぎます。
傷つきやすい
木の品種によって傷つきやすさは異なりますが、無垢の木は集成材や合板などに比べると柔らかく傷つきやすいといわれています。
実際、無垢の木は傷がつきやすいのですが、合板のように「表面に傷がついて性質の異なる芯材が露出する」というようなことがないため傷がついてもあまり目立ちません。
また、木は水分を吸うと膨らむ性質があるため、軽微なへこみなどはスチームアイロンを使ったり、濡れたティッシュを置く、軽く削るなどして修復することが可能です。
無塗装の無垢材は汚れやすい
無垢材は、そのままでは乾いた木の繊維が水を吸い込みやすいため、水分や汚れも非常に染み込みやすくなっています。
フローリングとして無塗装の無垢材をそのまま使用するのは、あまり実用的ではありません。
塗装の方法としては、浸透系の塗装(自然塗装、オイル塗装)とコーティング系塗装(ウレタン、UVウレタン塗装)があります。
コーティング系塗装は、ポリウレタンを主成分とする塗料で、無垢材の表面に硬い膜を形成する塗料のことで、撥水効果が高く、汚れが付きにくいのですが、木の呼吸を止めてしまうため、調湿効果がなくなってしまうのが、欠点です。
一方、浸透系の塗料は、自然塗装(オイル塗装)とも呼ばれますが、自然由来のオイルやワックス仕上げのことです。
表面を完全に覆わずに、木の表面から内部に浸透することで、無垢素材の質感を保ちつつ、油分が水分を弾く性質によって汚れにくくなります。
また、木の呼吸を妨げないので、木の調湿作用を維持することができます。
自然派ライフ住宅設計では、オリジナルワックス「誰でも塗装屋さん 無垢材編」を開発し、無垢材の保護をしています。
カラーも、とうめい(001)・しろ色(002)・はだ色(003)・こむぎ色(004)・くり色(005)・こげ茶(006)・銀黒(007)と7色揃っていますので、内装のイメージに合わせて着色することができます。
合板と比べると価格が高い
無垢フローリングには様々な木の種類(樹種)がありますが、一般的に無垢材フローリングは、合板フローリングに比べて3~5割ほど高くなります。
自然派ライフ住宅設計では、30㎜厚のスギ浮造り床材や赤松床材の流通ルートを簡素化させ、リーズナブルな価格で提供しています。