キッチンの寸法

あなたは自分のキッチンに最適な寸法を知っていますか?

ショールームで展示されているキッチンの寸法に、知らず知らずのうちに自分を合わせてしまうことがあります。

理想のキッチンとは、おしゃれなデザインだけでなく、使いやすいことが重要です。

そのためには自分の使い勝手に合ったサイズを知ることから始まります。

今回は、キッチンの寸法についてお話ししたいと思います。

キッチンの長さ

一般的にシンクの幅は800㎜前後、コンロの幅は600㎜または750㎜が主流です。その合計に作業スペースを加えればキッチンが完成します。

また、シンクやコンロの脇に150㎜以上の作業スペースがあると使いやすくなります。

150㎜以上の作業スペース

ただし、I型のように1列にシンクとコンロが設置される場合と、Ⅱ型やL型・U型のようにコンロとシンクが別々のカウンターに設置される場合では、作業スペースの取り方が変わってきます。

今は、メーカーの規格のバリエーションも増えているので、使い方と住宅の事情に合わせて決めていくことになります。

キッチンの高さ

少し前までは850㎜が主流でしたが、最近は使い勝手のニーズに合わせてセレクトできるメーカーが増えています。

カウンターの高さが低すぎると腰が痛くなったり、高すぎると方がこったりします。

一般的な目安としては

キッチンの高さ=身長÷2+5 cm
※身長160cmの方の場合は160cm÷2+5cm=85cmが目安となります。

キッチンの高さは、「シンク」「調理台」「コンロ」によって使いやすい高さがあります。

例えばシンクの場合は底が下がっていますので、高めの方が体への負担が減り、使いやすく感じます。

調理台は野菜を切るなど包丁や菜箸を持って集中する作業が多いので、少し低めの方が作業がしやすくなります。

調理台の高さは、立って腕を垂らし、肘を直角に曲げて、肘の高さと調理台までの距離が150~180㎜くらいが使いやすいと言われています。

コンロは鍋の高さもプラスして考えると、炒め物や鍋の煮え具合を確認するには、高すぎると鍋の中が見えにくいので、低い方が使いやすいですし、フラットなIHなのかゴトクの高さがあるガスなのかでも違ってきます。

また、スリッパを履いてキッチンに立つか否か、履く場合はスリッパの高さによっても、適当な高さが変わります。

特に、かかと付きスリッパなどを愛用されている場合はスリッパのかかと部分で数センチの差が出ることを忘れないようにしてください。

最近は、ご主人と奥様どちらもキッチンに立つ家庭も増えているので、どの高さに合わせるか慎重に考える必要があります。

また、車いすによる調理の場合は、調理台の高さを800㎜より低めに設定し、シンクの深さも一般のものより50㎜程度浅いものにすると使いやすいでしょう。

キッチンの奥行き

壁付の場合は650㎜が主流です。

多少奥行きが広がる分には使い勝手は良くなりますが、壁に手が届く範囲にしておかないとお手入れなどで苦労します。

アイランド型キッチンの場合は、650㎜では対面側に水や汚れがまわってしまうため、900㎜前後の奥行きが必要になります。

対面側をどのように使用するかによっても変わりますが、あまり広げ過ぎてもかえって不便になります。

動作空間とキッチン寸法

キッチンの様々な作業を行うために必要なスペースは、使う人の体格や人数によって異なります。

1人で調理する場合でも、900㎜程度の通路幅を確保し、複数の人で調理する場合は1050㎜ないしは1200㎜程度の通路幅があると良いでしょう。

キッチンの通路幅

キッチン収納の標準的な高さ

吊戸棚や収納スペースの高さを考えてみましょう。

日々頻繁に使用するキッチン用品の収納スペースも「高さ」の考え方がとても大切になってきます。

収納は使用頻度が高いものほど、立った状態で手が届く範囲にあることが望ましいです。

吊戸棚やシンク上部の収納位置は、身長に合わせて取り出しやすい位置にあるのが理想です。

吊戸棚を設置する場合は、天井近くまで手が届かないため、高すぎると日常の用途には適さず、使用頻度が低く軽いものを収納すると考えた方が良いでしょう。

収納量を増やすということだけで天井近くまで吊戸棚を設置しても、結局あまり使わないということもよくあります。

キッチン部分だけでなくキッチン収納も、自分にとっての使いやすさを考えてプランするとより使い勝手の良いキッチンになります。

キッチン収納の標準的な高さ

吊戸棚は必要?不要?

最近は、圧迫感なくスッキリと見せたいという理由から、壁全体に吊戸棚を設置するのではなく、部分的に設置したり、壁面収納との組み合わせで設置したりするケースが増えています。

キッチンには吊戸棚を設けずに、背面収納にミドルキャビネットを設置した例

また、どうしても高い位置に収納することになり、普段使いできない、不要なものを収納してしまうなどの理由から、手の届きやすい部分だけの設置、もしくは吊戸棚を設置しないキッチンも増えてきています。

吊戸棚は手の届きやすい部分のみに設け、壁面収納と組み合わせた例

吊戸棚を設置する場合、本来いちばん使いやすい位置は目線の高さ(アイレベル)周辺ですが、通常の奥行きで吊戸棚が目の前にあると圧迫感があり、作業もしにくくなります。

そのため一般的には高めに設置されていますが、結局一番下の段以外は脚立を使わないと物が取れないという弊害が出てきます。

最近はこれを解消するために昇降式の吊戸棚などもありますが、吊戸棚自体が本当に必要なのかを検討してみることが大切です。

このように、キッチンそのものの寸法やその周辺の棚の寸法など、理想のキッチンに近づけるために検討しなければならないことが多くありますので、設計士やインテリアコーディネーターと細かい打合せをしましょう。

次回からは、インテリアに取り入れる色についてお話ししたいと思います。