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中古物件を購入する際のチェックポイント:構造について
中古物件のチェックポイント:土地においても解説してきましたが、今回は構造部分について解説していきます。
リノベーションやフルリフォームを考えている方は気になる部分かと思います。
リノベーションについて知りたい方は是非下記いても目を通して頂ければ幸いです。
中古物件の市場のイメージと抜け穴
まず最初にこれらをこれからお家について考えている方がすべて理解することも難しいことでしょう。
なので、中古物件は怖いというイメージだけが先走ります。
実際に開けてみてびっくりすることもありますしね。
そのため本来の価値に目がいかないケースも多いです。
ただ、ネガティブにならず考えてみましょう。
抜け穴としては、本来価値がある中古物件がしっかりと評価されていないという事は、本来価格が高い物件を安く購入する事もできるわけですね。
ここでは、特に抑えて頂きたい部分を載せていきます。
例えばこれから中古物件の購入を考えている方や不動産会社との打ち合わせがある方へ、事前の準備として是非目を通して頂ければと思います。
まずは代表的な構造躯体について
中古物件を選ぶ際の大前提として、構造躯体の種類・工法についてざっくりみていきましょう。
木造軸組み構造(在来工法)
日本で古くからある伝統的な工法です。
木材で柱・梁を組み、筋交いで補強しています。

コピー元サイト:https://suumo.jp/article/oyakudachi/wp-content/uploads/2019/05/mokuzo_jutaku_sub01.jpg
比較的自由な建物形状や間取りを組むことができる工法です。
壁による制約が少ないため、大きな開口を設けることができます。また柱や梁を見せながら和風の内装を作りこむのにも適しています。
もちろん洋風の意匠にも対応可能です。
木材は鉄骨などに比べたら、比較的安価に入手でき、木造住宅になれた職人も多いので、工事費も比較的に安く仕上がるというメリットもあります。
木造軸組工法は、従来、現場での加工や組み立てが多く、他の工法に比べて人の手で施工する箇所が多く職人(大工さん)の熟練度によって出来栄えが大きく左右されるという特徴がありましたが、現在ではあらかじめ工場で加工した部材(プレカット)を用いることが一般的になっており、かつてほど品質のばらつきを施工精度のリスクは少なくなってきました。
また、従来、柱・梁だけで構成された軸組は、地震による水平力が加わった際にゆがみが発生しやすく、地震に対して弱いと言われてきました。2000年の建築基準法の改正により、以前より高い耐震性が要求されるようになり、接合部の補強金物、筋交い、構造壁などが設けられるようになり、新築で適法につくられている限り、他の工法に比べ耐震性が劣ることはなくなりました。
2×4工法(ツーバイフォー)やパネル工法
2×4工法は、2×4インチの角材を合板ではさんで箱状のパネルをつくり、それによって床・壁・天井の6面からなるボックス状の空間をつくり重ねていく工法です。
他にもツーバイシックス(2×6)、ツーバイエイト(2×8)など角材の大きさによっていろいろな工法があります。

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技のある職人さんの不足から、比較的どの世代の職人さんでもお家がつくれるように単純化された方法として普及されています。
説明の際にダンボール箱が持ち出されることが多いですが、原理は同様で、地震や風などの水平力への耐性が高いので特徴です。ダンボールは厚紙一枚ではすぐに折れ曲がってしまいますが、重ねて積み上げると丈夫になりますよね。
ボックス状のパネルが隙間なく囲むので、基本的な性能では在来工法に比べ耐火性や遮音性の面で有利に働き、気密性や断熱性にも優れています。
メリットも十分にありますが、デメリットとしては、壁や構造体となっているため、開口の大きさや位置などが制限されたり、間取りの自由度が少ないなど、在来工法に比べるとプランニングの面で制約がでてきます。
また、高気密・高断熱になっているので、外気との温度差が大きくなりやすく、結露などが生じやすくなっています。結露対策は必須になります。
部材が標準化され、施工も容易(工期が短い、組み立てに熟練を要さない)で、分業もしやすいことから一般的には、在来工法に比べ工事費は安価であるといわれています。
ただし、規格外のプランニングをする場合などは逆に割高になる場合もあります。
そして、お家を建ててからの間取り変更が難しい場合が多く、家族構成の変化等に対応できない場合のご相談を非常に多く受けています。
ですが、これらの事が考えずらい場合などはメリットも多い工法になります。
鉄骨造
S造とも表記されますが、構造躯体が鉄骨造の工法です。
軽量鉄骨工法は厚さ6ミリ未満の鋼材を使った軸組を工場で溶接し、現場に運びボルトで固定する工法です。
規格化・工業化された工法であることから、プレハブの名称で呼ばれています。また、工場で大量生産されるので比較的に低コストでしあがります。
在来工法(木造軸組工法)の柱・梁による軸組を、木材の代わりに鉄材や現在では鋼材を使って工場生産する工法といえます。そして柱と梁を完全に接合するラーメン工法などもあります。
さらに工業化が進み、軽量鉄骨工法として、壁や床自体を工場生産して現場に持ち込む鉄骨ユニット工法があります。
鉄筋コンクリート造
RC(Reinforced Concrete)造とは、鉄筋を配してコンクリートを固めたもので、壁によって支える壁式構造と柱・梁で構成されるラーメン構造があります。
引っ張る力に強い鉄筋と圧縮力に強いコンクリートを合わせて強度を出します。耐久性に優れ、適切にメンテナンスをすれば、躯体自体は50年、100年の寿命を保ちます。耐震性、耐火性、遮音性などのさまざまな面で最も高性能の工法プランになります。
意匠の自由度も高く、自由な形態、開口、デザイン、間取りなどが可能です。堅固な地盤に建てることが求められ、しっかりした基礎工事も必要とあり、工事費は高くなります。

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構造別の法定耐用年数
【住宅用】
鉄骨鉄筋コンクリート造(SRC造)・鉄筋コンクリート造(RC造) 47年
レンガ造・石造・ブロック造 38年
金属造(S造)骨格材の肉厚が3㎜以下 19年
金属造(S造)骨格材の肉厚が3㎜を超えて4㎜以下 27年
金属造(S造)骨格材の肉厚が4㎜を超えている 34年
木造・合成樹脂造 22年
木骨モルタル造 20年
法定耐用年数とは減価償却の際に元となる回数=年数となります。
簡単にいえば、法律で定められた建物の寿命です。
あくまでも税務上の年数になりますので、あくまでもそういった指標があるとだけ認識してください。場合によっては必要がでてまいります。
耐久年数
一般的に多い意見をまとめましたが、年数にかなりばらつきがありました。
鉄筋コンクリート造 40年~100年以上
木造住宅 30年~100年以上
鉄骨造 30年~60年程度
とされています。
平均値でみる耐久年数
住宅を実施に建て替えしている年数をみると、木造住宅約30年、鉄骨造約40年 RC造は60年とありましたが、実際には単純に30年前の家と現在の家の性能はかなり違うので、判断が難しいところではあります。ただし、築30年を超えると建て替えを意識せざるおえない住宅が多いことも事実ではあります。
本題:中古物件はどういった構造を選ぶのが良いのか
良い悪いは、なにをもって判断するべきか?
耐震強度の高い構造かどうか
日本の戸建て住宅は建築基準法によって最低限レベルでの安全性は確保されています。
みなさまご存じだと思いますが、1981年と2000年に大きく建築基準法は改正されました。
注意してみていただきたところが、日本の法律は「最低限レベルの安全性の確保」というところです。
以前の建築基準法では実は最低限の安全性も守れなかったということになります。
現行法を基準とするならば、最低限2000年以降の建物のレベルの住まいを探す必要がありますね。
耐震強度の規格として、耐震等級1(2,3)という項目があります。
等級1は数百年に一度の地震(震度6強から7程度)に対しても倒壊や崩壊しないという事が定められています。
熊本地震の教訓からシミュレーションの結果、今回の連続して起きた熊本地震で現行基準耐震等級1では倒壊、耐震等級2では全壊、耐震等級3で半壊もしくは軽微な被害になると結論づけられております。
結論として、耐震等級がいくつの住宅を購入するのか、という選択肢がでてきますね。
ただ、理論上一番頑丈な等級3は現時点の新築でも希少です。
恐らく中古物件のメリットを生かして等級3の物件をみつけることは、おそらく難しいです。
耐久性が高い方が良い(長持ちするか?)
これから住宅は建て替えるものではなく修繕するものという考え方に時代的になってきています。
長期優良住宅などがその先駆けですよね。長持ちする構造を選ぶ事が重要になります。
コストが安いほうが良い
お金が無限にある人はこの世にいない事でしょう
通常は価格が安い方が良いです。
ただ、コストという事で考えられるのは皆さん建てる時の目先の金額しか頭にありません。
なぜなら、その後のランニングコストがお見積書に入っているわけがないからです。
これは家造りだけではありませんよね。
車などもそうです。
サブスク形態のビジネスが流行ですが、お家造りは別ですね。
つまり、修繕の為のコストも重要です。
このコストは耐久年数で割ったものだとお考えください。
例えば1000万円で100年もつ住宅だとします年間10万円のコストがかかります。
例えば800万円だけど50年しか持たない住宅だと年間16万円コストがかかってることになります。
少々かみ砕きすぎていますが、簡単に言えばこういうことです。生涯での住宅のコストも考えて構造を選ぶ必要があります。
快適な断熱性能
中古物件で断熱性能を望むのは難しい場合もあります。
実際に築数十年の少し古いお家では断熱材が入っていない事もおおいです。
買ってはいけない物件
雨漏れや結露がひどい物件があげられます。
木造住宅で、雨漏りや水漏れ事故、内部結露などが起こった場合は長期間水に触れることによって、カビの原因やひどい場合は構造部が腐ってしまいます。
そういった物件は誰しもが買うのを嫌がると思われます。
それは鉄骨造やRC造の建物も同じです。構造躯体の錆が確認できる物件は買ってはいけません。さびてしまえばせっかく丈夫な住宅でも、その強度は格段に下がってしまいます。
鉄骨という部材はさびやすいので錆び止めと塗料や耐火被覆を施してあるので錆び難くなるような対策はしてありますが、長期間水に触れてしまうと錆びてしまいます。
さびてしまう理由にはいくつかありますが、一度錆びてしまうと加速度的に錆びていきますし、よくなることはありません。
火事を起こしている物件も要チェックです。鉄は一度熱が入ると高度も変化します。
例え一室だとしてもバランスを崩した建物がどうなるのか、考えなくてもわかりますね。
リノベーションという選択肢に至ります
ならばこれら求める場合どうするのか?
それは、リノベーションという方法で解決できます。
実際にリノベーションすることを大前提に家造りを始めて、破格でだされている中古物件を購入する流れが増えているのはここにあります。
例外な物件
「型式適合認定」を受けた建物は、良い家なのか悪い家なのか、判断ができない事がデメリットとしてあります。
つまり、簡単に修繕できませんので、これはリノベーション等の対応策も難しい場合があります。
選んで欲しい構造
構造は長期的に使える構造にするべきであり、型式適合認定みたいに閉ざされた工法を選ばない事、そしてコストバランスを考えることが重要になります。
熱橋(ヒートブリッジ)対策がきちんとされているか、木造住宅のようにもともと、熱橋になりづらい構造か、そして気密がしやすい構造を選ぶべきです。
これを個人で判断することは恐らく難しいです。
ぜひ、当社にご相談ください。
構造についてのまとめ
わが国にはいろいろな建て方で建てた家が存在します。
その中で、買ってはいけない物件、そして中古戸建ての場合買ってからリノベーションを行いやすい物件、買ってもリフォームを行えない物件を見極める事が大事です。
そして、戸建て住宅は木造軸組み工法を選ぶ方がよいと考えています。
耐久年数とコストバランスを考慮し、手を加えやすいためです。
例えば先ほど「買ってはいけない構造」に出てきた雨水などが侵入して腐った箇所があれば、その部分を取り換えることが可能なのが木造住宅です。
ですが、忘れてはいいけない事それは構造計算する事です。戸建て住宅は旧耐震、新耐震、2000年以降(新新耐震)があることをわすれてはいけません。
建物の状況をしっかりと踏まえてリフォームする必要があります。
旧耐震の建物も耐震等級3にすることも可能です。