今回のお題は、「サッシ選びとランニングコスト」についてです。
結論から言いますと、窓は商品の値段とランニングコストを考えながら、どのグレードのものが必要かということを考えて選ぶということが一番大事になると思います。
一般的に住宅メーカーさんがよく使う、外側アルミ・内側樹脂、Low-Eペアガラスのサッシを基準にして説明します。
*「Low-Eガラス」とは、ガラスの表面にLow-E膜といわれる特殊な金属膜(酸化錫や銀)をコーティングしたガラスのことで、主に複層ガラスに用いられています。英語の「Low Emissivity」の頭文字をとって「Low-E」と表記されています。つまり放射を低くする(下げる)という意味を表しており、ガラスにコーティングされたLow-E膜が太陽の熱や部屋を暖房で暖めた熱を吸収・反射します。その効果として、夏の暑さを和らげ、冬の暖房効率を高める等、室内の快適性を高めることに一役買っているのです。
通常、 Low-E 複層ガラスには二つのタイプがあります。Low-E金属膜の位置によって、冬場に太陽の暖かさを取り込みたい南向きの部屋には “日射取得型” のガラス、厳しい西日が差し込む部屋には “日射遮蔽型” といった使い分けができます。

YKKAP㈱カタログより
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新潟(五地域)でのサッシ比較一覧
新潟などの5地域で、平均的な1棟分の窓の面積から逃げる熱量は83,400円となります。
これが4地域になりますと、熱量の逃げ方が10~15%アップしますし、3地域ですと20~25%アップします。
リフォーム屋さんと言われる業者の中には、未だにLow-Eガラスを使っていない会社もあります。
Low-Eガラスにするかしないかだけで、実は年間8,500円分も逃げる熱量がアップしますので、年間約92,000円分の熱が窓から逃げるということになります。
確かに商品の値段は安いんですが、1棟あたり100万円かかるサッシを基準にすると、Low-Eガラスガラスではない、普通のペアガラスのサッシにすると90万円でおさまることになります。
しかし、年間約8,500円ずつ多く払うとすると、約11年で元が取れるわけですから、差額の10万円はお金をかける意味があると思います。
更に1ランク上の、外側・内側とも樹脂の樹脂サッシを見てみましょう。
近頃樹脂サッシが増えてきましたが、性能を考えると非常にいいことだと思います。
標準的なアルミ樹脂複合サッシを、樹脂サッシに取り替えた場合、商品は100万円のものが110万円にあがります。
商品は10万円アップするんですが、年間の熱損失量が9,700円分抑えられます。
つまり、年間72,000円くらいが熱を逃がす費用ということになります。
ということは、年間約10,000円ずつ得をする訳ですから、約10年で元が取れるということですね。
それであればやった方がいいんじゃないかということになります。
例えば、5地域で樹脂サッシ・Low-Eトリプルガラスまでグレードを上げるとどうなるかというと、商品の値段は100万円のものが170万円になって、70万円アップします。
確かに性能がいいので、熱損失量が抑えられて、年間約20,000円安くなります。
しかし、商品が70万円アップするので、元を取るためには約35年かかるわけですので、そこまでする必要があるのかという考え方になります。
このように、商品コストとランニングコストを考えながら、サッシのグレードを選んでいくのが良いと思います。
これが2地域や3地域だったりすると、ランニングコストのマイナス分がもっと上乗せになります。
そうすると、元を取るための年数が20年くらいになりますので、2地域や3地域では、Low-Eトリプルガラスのメリットが出てくるということです。
やはり、地域によってサッシとガラスのグレードを考えていくべきだと思います。
また、近頃関西地域でも樹脂サッシが非常に増えてきました。
寒い地域だけではなく、暖かい地域では夏場の熱を抑えてエアコンの効きをよくするために、この樹脂サッシを使うケースが増えてきました。
冬と夏の両方の面から商品コストとランニングコストを考えてサッシ選びをして頂ければと思います。